その後も不可解な出来事は続く。
食べた覚えのない食べ物のゴミ、
行った覚えのないレストランのレシート…
部屋に記憶のないものがたくさんある。
それだけじゃない。
記憶にない出金記録、
いつのまにか減ってる財布の中の現金…。
みるみる貯金が減っていく。
部屋の鍵をかけても、出歩かないようにしても、何も変わらない。
どうしたらいいんだろう…。
夢遊病かな?
対処方法が分からなすぎて、考えるのを放棄したくなる。
とりあえず、メンタルクリニックかな…。
そして、以前から通院していたクリニックに行こうと駅に向かった。
改札に入ったところまでは覚えている。
それなのに、気づくと山手線に乗っていた。
時計を見ると2時間くらい経っている。
寝てたのか?
いやいや、乗り換えしないと山手線には乗れないじゃないか。
乗り換えなんかした記憶ないぞ。
今まで起きていたことは、夜寝てる間だけだった。
でも、今日はそうじゃない。
明らかに自分の覚えてないことを自分がしている。
これは夢遊病なんかじゃない…。
わずかな希望を持って行こうとしていたクリニックへの道中で現実に直面してしまった。