私は子供に大きな嘘をつかなければなりません。
それは、子供の名前。
『お父さんとお母さんが一生懸命考えてつけた名前だよ』
と。
嫁が一人目を妊娠した時は嬉しかった。
必死で名前を考えた。
自分の好きな漢字や響きや呼びやすさや由来や。。。
でも、私が考えた名前はすべて嫁に却下された。
そして嫁は名前を付けた。
意味や由来は特になく、自分がかわいいと思った名前らしかった。
でも1字だけ、僕には受け入れられない文字があった。
だから生まれたあと、その1字だけ名前を変えた。
漢字を後で付け足した。
だから嫁は、私が付けた名前だという。
義理の母は、その名前を『堅い、重い』と何度も言った。
出生届を出した後だった。
二人目の子はあきらめていた。
でも、子供に兄弟がいた方がいいと思い、なんとか頑張った。
月に一度のペースで同意してくれる日があった。
子供が出来るタイミングだとすぐに分かった。
でも気付かないふりをして、子供を作ることだけを考えた。
それ以外の喜びは何もなかった。
嫁のお腹にいたとき、何度もお腹を触らせてほしいと言ったが、許されたのはたったの2回だった。
だから胎児に話しかけたのもその2回だけ。
子供が生まれた。
名前を必死で考えた。
嫁は私の付けた名前には聞く耳を持たず、これにしようと自分で決めた。
私は渋っていたが、その頃は既に嫁の言いなりに動いていた。
二人目が生まれて数日後、産婦人科の待合室で子供の名前の本を開いた。
嫁が付けた名前が載っていた。
かわいい名前だと思った。
たったそれだけの理由で、子供の名前を付けた。
名前の由来はあとで付け足した感じになった。
名前の由来を嫁に問いかけ、嫁に気付かれないようにお互いの口合わせを試みた。
子供たちが大きくなって、名前の由来を聞く日がきっと来るだろう。
その時、私は娘たちの人生最大の嘘をつく。
『お父さんとお母さんが一生懸命考えてつけた名前だよ』
と。