私の周りには、モテる友人が何人かいました。

 

そのうちの一人をS君とします。

 

S君は見た目が阿部寛のような、ほりの深い日本人離れした容姿をしています。

 

見た目は男性の私からしてもかっこいい。

 

そして彼はモテます。

 

自分からアプローチしなくても、女性の方から寄ってくるんです。

 

私はそんな彼を間近で見ていました。

 

 

私自身は普通というか、まったくモテないわけではないけれど、S君ほどはモテない。

 

私はS君が羨ましかった。

 

ある時、S君のところへ超美人の女性がアプローチしてきました。

 

私はなぜかS君とともにその超美人の女性の家に行くことになりました。

 

超美人の方はS君の方へいろいろ話しかけます。

 

S君もそれに答えています。

 

私は何もすることがありません苦笑。

 

そんな感じで過ごした帰り道、私はS君に聞きました。

 

「あの美人さんはS君的にどうなの?」

 

S君は即答します。

 

「ないね!」

 

「え!?なんで!?」

 

私は絶句します。

 

S君は続けます。

 

「男は狩人だから。追いかけるのが楽しいんだ。向こうから寄ってくる女に興味はない。」

 

私はまったく違う次元に生きる彼の言葉が当時は理解できませんでした。

 

 

私も年齢を重ね、経験を重ね、なんとなくS君の言っていたことが理解できるようになってきました。

 

婚活パーティーに出ていると、私も女性からアプローチカードをたくさんもらいます。

 

しかしそのどれにも返信はしません。

 

私は私が狙った女性にしか興味がないのです。

 

「あぁ、S君が言っていたのはこういう境地なのかな」

 

 

遠いうわさで彼は結婚して子供も授かったと聞いています。

 

私は婚活パーティーで一喜一憂している身ですが、今更S君のことを思い出すのでした。