私の心が電車だったとする

1両だけのおんぼろ電車


昔はピカピカの特急列車で

風を切って走っていた


毎日、毎日、走り続けた

とても、とても、誇らしげに


だけど、そのうち、走れなくなった


深い、深い、谷底にひっそりとある、電車の修理工場


そこで何日も、何日も、眠って

やっと出発できる日がきた


前みたいなピカピカの特急列車じゃない


のろのろ、ゆっくり進む、一両だけの電車


出発地点は、暗い暗い谷底の駅

青い空は、高く、遠く、ほとんど見えない


のろのろ、のろのろ

がたがた、ごとごと


曇りの日、雨の日

暗い顔のお客さんがいっぱいのってきた


悲しみ、不安、孤独、虚しさ・・・


車内は、とてもとても、重苦しく

いつもよりも、さらにのろのろしか進めない


時々止まってしまうけど

次の駅は、まだ遠い


早く、早く、降りてほしい

悲しみも、不安も、孤独も、虚しさも

早く、早く、降りていって


おんぼろ電車の天井から、ぽつりと落ちてくる水


雨かな

それとも、涙かな