「老人のウソ」の著者武田邦彦氏は、人生100年時代では、100年を2等分を提案しています。

最初の50年間は人間が生物学的に本能として生きている時代。
誕生→成長→結婚→出産→子育ての時代。
人生50年時代は、これで人間の一生は終わっていた。

動物は本来の生物学的役割を終えると死を迎えた。
サケが産卵のために、4年後に本来生まれた上流に辿り着くと、メスは産卵し、オスは精子を
かけ、そこで死んでしまう。
その死骸は、これから生まれてくる子ども達の栄養分となる。

しかし、人間は違う。

現在は人生100年時代。次の50年間は全く異なった生き方となる。
それは社会貢献の時代といえる。

それをしないでただ老後を生きながらえる高齢者は、いずれ寝たきり痴呆老人となり、社会に
迷惑を掛ける存在となっていく。

世のため人のために生涯現役で生き抜くことこそ寝たきり痴呆老人にならない最高の良薬であ
り、最高の幸福といえます。


◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆

40年近く前にカナディアンロッキー山中にあるアダムス川にサケの産卵を見に訪ねました。

サケは1000キロの川を上っていきます。途中急流があり、息絶えるサケも大量に出ます。
しかし、その艱難辛苦を乗り越え、最後に辿り着いたところがアダムス川の上流です。

そこは穏やかな浅瀬です。その浅瀬は真っ赤になったサケで染まります。

産卵を終え、役割を終えたサケは死に絶えます。

死んだサケは、熊やその他の動物の餌になり、そして自分の子ども達の餌にもなります。

このメルマガを書きながら40年近く前の事が蘇ってきました。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 


『団塊の世代』の名付け親、堺屋太一氏が多臓器不全の為、8日死去。享年83歳でした。

堺屋太一氏が団塊の世代(昭和22年~24年の3年間に生まれた世代)と命名したのは1976年小説
「団塊の世代」でした。

当時団塊の世代は全員20代で、働き盛り。私もその一人です。団塊の世代が日本経済を背負っ
てきました。

私が三井物産に入社したのが昭和47年。同期だけで300人以上いました。

私が三井物産を辞めたのが48歳の時でしたが、この時既に管理職の方が担当者よりも多い頭で
っかちの時代となりました。

そこで三井物産では早期優遇退職制度を発表し、48歳以上の中高年の退職を促し、スリム化し
ていきました。私もその制度に乗っかり、退職しました。

企業なら人口の変化に柔軟に対応していきます。逆にそれをやらないと倒産へと向かいます。

役所の場合、倒産危機がないから、問題先送りで今日まで来てしまいました。

そして、2025年には団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となります。

65歳の前期高齢者の時は、まだ働く余力がありました。しかし、後期高齢者となるとその力が
余り残されていません。

更には、団塊の世代が20代の頃の平均寿命は70代半ばです。今は、人生100年時代に突き進んで
います。年金、医療費、介護費用が際限なく膨らんでいきます。

政治家は、「社会保障制度の充実」をアピールします。確かに耳障りが良いです。そして、高
齢者はそういう政治家に投票します。

しかし、財源がなければそのつけは若い世代へと先送りされていきます。

自分の将来に不安を持つだけでなく、最近どうしたら将来の不安をなくすことができるのか、
将来展望を見つめながら行動し始めた若い世代も増えてきているようです。

注)

役所に倒産はないと言いましたが、夕張市は事実上の倒産です。

今後、少子高齢化が進むと、財政破綻する地方自治体が急増していきます。


昨夜の日経ビジネスプラスで年金問題を採り上げていました。

年収500万円のサラリーマンの年金支給シミュレーションは下記の通りです。
65歳 23万円 70歳 33万円 75歳 42万円
生活費過不足額 65歳 -5万円 70歳 +5万円 75歳 +14万円
年金支給開始年齢を先送りすると年金支給額は増える仕組みです。
これに対し、生活費は28万円として算出しています。
その内、住宅費は2万円です。これは持ち家が前提です。

となると、マイホームがない高齢者は、75歳になって初めて1LDK~2DK程度の借家に住んで、生
活できる年金支給額となります。

シミュレーションでは、支給開始年齢75歳はあくまでも本人のオプションです。

しかし、現実には持ち家を持っていない高齢者は、75歳まで働かざるを得ないと言うことです


年齢別に見ると、65歳以上の高齢者の持ち家比率は約8割です。

これに対し、年齢が低くなるにつれ、その比率が低下していきます。

又、年々持ち家比率が低下しています。
例えば働き盛りの40代前半の持ち家比率は、1988年に56.6%だったのが、25年後の2013年には
46.1%と10%も低下しています。

終身雇用制度の崩壊、デフレ更には右肩下がりの時代において、国民は持ち家を持つことのリ
スクを考え始めているようです。

政府はそのような長期トレンドも考慮した社会保障制度を作っていく必要があると言えます。


◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆

日本の年金制度は世界最大のネズミ講と揶揄されています。インターネットを見るとそのよう
な書き込みが多数あります。

右肩上がりの高度成長時代、人口増時代の発展途上国ならこの仕組みは成り立ちます。

しかし、人口減少時代においては、破綻するのは明らかです。

年金の仕組みはまさにネズミ講で、これは刑事罰の対象です。

しかし、国が守っているので、破綻しませんが、今後若い世代になればなるほど、払った年金
より受け取る年金が少なくなる逆転の時代へと突入していきます。

国民はその事実に気付き、年金不払い者が続出しています。

政府はこういう実態も考慮すべきと考えます。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


20世紀ナンバーワンの経営コンサルタントの神様ドラッカーが、50年前に有名な「断絶の時代
」を書きました。

その30年後、今から20年前の1999年に改訂新版を出しました。
そこには、少子高齢化社会の到来と社会保障費の急増を予測していました。

政府や官僚は当然そのことを知っていました。

しかし、政治家は目先の票にならないものには手をつけません。

官僚も縦割り組織で、今の自分たちの権力構造をどう維持するかに目が行きます。

2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になります。

この時に、年金だけでなく医療費や介護費用が急増していきます。

政府は最近になってこの問題に取り組みましたが、今や手遅れの感じがします。

なぜなら、団塊の世代の大半は既に労働意欲を失い、どうやって老後を楽しく過ごすかに関心
が移っています。

残された手は政府が生涯現役社会を積極的に推進していくことです。その為のあらゆる施策を
打っていくことだと思います。

私もこのシリーズで必要な施策を訴えています。
 


子供って無邪気でいいですね。
自分中心に世界が回っています。当然、他人の事など余り考えることができません。

しかし、成長するに従いいろいろな出来事を通じ他人に対する気遣い、心の痛みを理解してい
きます。

ペットの死、祖父母の死等身近な死を通じ悲しみを覚えます。

大学を卒業し、結婚し、子供を持つようになると親の有り難みが分かってきます。

最近は非婚者も増えてきています。その場合、親の有り難みを実感しないまま年を取る人も増
えているようです。

更に、高齢者になると自分が生まれ育った日本に住むことのありがたさを感じます。これは外
国に住んだことのある人なら実感します。

インドでNGO活動をしている友人がいます。インドの貧困状態、飢えで死ぬ子ども達も多数いま
す。

そういう実態を体験すると本当に今自分が生かされていることの幸福を実感します。

その結果、自分の事だけでなく、世の中の役に立っていこうと気持ちになっていきます。

こういう高齢者で溢れている高齢者社会なら良い社会になっていくと思います。