落語家といえば、いま僕の中で一番お気に入りが「柳家花緑(やなぎや かろく)さんです。 その花緑さんが上野 鈴本演芸場の10月中席(10月11日~20日)夜の部 トリで出演中。新作落語「ナンパジジイ(作・鈴木 聡)」を演っていまして行ってきました。
上野広小路にある『鈴本演芸場』は落語の殿堂ですが、僕は初めて足を踏み入れました。 今は雑居ビルになっているので、昔の雰囲気はありません。中は普通の小劇場のようです。違うのは会場内で飲食ができること位かな、落語を聞きながら。
イスに座るとその前にテーブルが折り畳みで出せ(前のイスの背に付いている)、飲み物や弁当を広げて食べています。 ガザガザ音がしますが、話が面白くなったり、最初から人を惹きつける話術を持った人の時には、皆聞き入るので当然静かになるので気になりません。
「ナンパジジイ」は二度目でしたが、楽しいです。巧いホンと巧い演者の組み合わせは何度でも魅せます。
終わって花緑さんが頭を下げる中、緞帳が降りました。
演芸場は三階にあるのですが、一階に下りると何やら雨音とは違う太い音が・・・・。 それは「追い出しの太鼓」でした。
雨が降りしきる表でビルのヒサシの下、若手が尺四寸ほどの長胴太鼓に一人で竹バチを握って向かっていました。
街に溶け込む太鼓の生音。 雨の滴に弾けているように聞こえました。
ちょっとコンビニで時間を潰し、地下鉄銀座線「上野広小路駅」に向かう。道路にある駅出入口で傘を閉じようとして後ろを振り向くと、目の前に傘を差した花緑さんも傘を閉じようとしていた?!
「お疲れさまです‥‥‥」
と声を掛けたものの何を話していいらや判らない。
「見ていただいたんですか?」
「あ、ハイ。二回目です。前は初演の時、新宿で‥‥‥一番前のかぶりつきで観たんです」
「ああ、そうですか、それはどうもありがとうございます」
え~と、う~ん、この後が続かないし、ここは地下鉄の入り口。人が後ろからどんどん向かってくる。
「頑張って下さい」と元気なく伝えるのがやっとでした。本当は握手もしたかったけれど、右手なんかとても出せない自分。
偶然に会えただけでも充分ラッキーと、胸に言い聞かせる。
同じ電車に乗って渋谷方面へ。それだけでもずっとドキドキしていた。
こりゃ、なんかいいことあるかも。この一時、ただのミーハーになっていました。
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