(注意)今記事では事件の核心部分について書いています。
捜査再開だ。
私が休んでいる間に進展があった。
白木夫妻が泊まっていた宿に、2人の写真があったのだ。
これで郁美の写真が手に入ったぞ。
写真を持って聞き込みだ。
さっそく情報が手に入った。
郁美の行き先が分かったのだ。
郁美が行ったというトドワラへと向かった。
しかし一歩遅かった。
郁美は死んでいた。
病院に搬送された郁美は意識を取り戻した。
白木というのは偽名だった。
本名は小野とく子。
知床五湖で殺されていたのは井持邦雄。
夫婦ですらなかったのだ。
井持はとく子を捨てようとしていた。
それどころか殺そうとしていた節がある。
それでとく子は先に井持を殺したのだ。
白木という偽名を使ったのは井持で、そうすれば警察の捜査から逃れられると考えていたらしい。
それは確かだろう。
3人の殺害現場は海だったが、井持だけは湖だったからだ。
北浜で殺された飯島。
彼は増田に脅されていたらしいことも判明した。
そして網走港で殺された白木。
彼はヤクザに追われていたらしい。
この3人の共通点は何なのだろう。
そこへ鑑識から連絡が入った。
白木の肺からは海水ではなく真水が出てきたというのだ。
白木は別の場所で殺されてから網走港に遺棄されたことになる。
しかも肺からはマリゴケが検出されていた。
マリゴケといえば屈斜路湖だ。
私たちは屈斜路湖へ向かった。
そこでの聞き込みで白木は和琴温泉に向かったことが分かった。
この手帳は犯人のものに違いない。
手帳には殺された飯島と白木の名前が書かれ、その名前はバツ印で消されていた。
飯島たちの他に、あと2人名前が書かれている。
1人は奥村紀助。
この人物にもバツ印がついている。
すでに殺されているのだろうか。
もう1人は阿久津秀夫。
大臣候補の国会議員で網走出身だ。
この人物だけバツ印がついていない。
私たちが手帳に集中していると1人の女性が浴場に入ってきた。
ここは混浴だったのだ。
よく見るとその女性は摩周湖で会っためぐみだった。
私はひらめいた。
そうだ、めぐみのバスタオルを取ればいいんだ。
シュンにそう命令するとさすがに戸惑っているようだ。
そして2分間の沈黙。
その静寂を打ち破ったのはめぐみだった。
なんと自らバスタオルを取ってくれたのだ。
私が取ったのではないから何も問題はないだろう。
タオルの事は置いておいて、私は気になることを確認した。
先日、増田の写真を見せた時、何か言いたげだったのだ。
もう一度、増田の写真を見せた。
するとこの人物はまきこの父親にそっくりだというのだ。
まきこの妹は先日東京で交通事故にあい亡くなっていた。
まきこの家族は父親だけになったという。
しかし不在だった。
しょうがないので勝手に部屋にお邪魔することにした。
部屋の中を物色していると一通の手紙を見つけた。
その差出人は奥村紀助となっている。
「白木が死に、飯島も死んだ。しかしわしはこれでいいと思っている。長い間、あんたら親子に詫びたいと思っていた」
手紙にはこう書かれていた。
奥村は門別に住んでいることが分かった。
私たちは門別にやって来たが何も情報は得られなかった。
ただ何かの慰霊碑があっただけだ。
若い女性と初老の男性が一緒に訪れていたらしい。
この慰霊碑は何のものだろう。
私たちは管理事務所で話を聞くことにした。
それによると昭和24年に発生した海運事故の慰霊碑だということだった。
船頭の他、7人が亡くなっていた。
船主の名前は奥村紀助。
この事故と今回の一連の殺人事件は関係があるのだろうか。
私たちは奥村の家を見つけることができた。
しかし奥村はすでに亡くなっていた。
一週間前に夜釣りに出かけてそれっきりになったという。
奥村はもし警察が来たら渡してほしいと1体の人形を残していた。
それがこのニポポ人形。
しかし目の下にノミの跡がある。
まるで泣いているかのようだ。
そういえばさっき管理事務所で同じものを見た。
訪ねて聞いてみると、浦田甚五郎という人物が彫ったものに違いないらしい。
そしてその浦田は網走刑務所にいるという。
刑務所の売店で訪ねると、確かにそのニポポ人形はここで作り、売っているものだという。
ただ、殺人の記事が新聞に載ると、次の日にはノミの跡のある人形が混じるらしい。
浦田にまきこのことを聞くが知らない人だと言われた。
何か隠しているようだ。
浦田について詳しく調べるためにもう一度まきこのアパートを訪ねた。
やはり留守だったが、また勝手に侵入。
まきこが父親と一緒に写っている写真を見つけた。
これはゲンさんだ。
確認するためにコロポックリへ。
しかしゲンさんはいなかった。
4日前から休暇をとっているようだ。
今度はゲンさんの行方を調べるため、まきこのアパートへ。
しかしそこは何者かによって荒らされていた。
一体誰が…
まきこは無事なのだろうか。
部屋を調べていると一枚の写真が出てきた。
これは浦田とまきこだ。
やはり2人は知り合いだったんだ。
もう一度、浦田に会いに行こうとした時、ゲンさん宛の脅迫状が届いたとコロポックリから連絡があった。
そこには、娘の命が惜しければ中央炭鉱まで来いと書かれていた。
私たちは中央炭鉱へと急いだ。
ここにまきこが捕らわれているはずだ。
炭鉱の中は薄暗く、迷路のように入り組んでいる。
まきこの身が心配だ。
急いで探さなくては。
まきこを病院へと連れてきた。
まきこは酸素の少ない坑内に閉じ込められていたため、酸欠状態だったらしい。
今は意識は回復していないが命に別状はなさそうだ。
私たちは再び浦田の下を訪ねた。
あの写真を見せるためだ。
写真を見せると浦田は語り始めた。
戦後間もなくの頃。
物資を横流しして大儲けした連中がいた。
しかも旧日本軍の遺産まで横領していたらしい。
一味は船を使い横流ししていたが、その船を用意したのが奥村、物品を売りさばいていたのが白木だった。
しかし、ことがバレそうになった時、証拠隠滅のため船を漁師ともども沈めてしまった。
これを事故に見せかけてもみ消したのが飯島だという。
この事故の犠牲者の1人が浦田の友人で、ゲンさんの父親だったのだ。
そしてゲンさんとそっくりな増田は、驚くことに浦田と一緒に服役していたというのだ。
浦田から過去のことを聞いた増田は、それをネタに阿久津を脅そうとしたのだろうという。
そして出所後に東京へ行き、逆に殺されてしまった…
その後、浦田のもとにゲンさんから手紙が届いたのだという。
そこにはゲンさんの娘の1人がひき逃げで殺されたと記されていた。
父親と娘の仇を取るため、そしてまきこを守るため、ゲンさんは次々に一味を殺していったのだ。
そうなると次の標的は阿久津だ。
そして阿久津もゲンさんを狙っている。
その時、病院からまきこが意識を取り戻したと連絡が入った。
私たちは病院へと向かった。
まきこもすべてを知っていた。
そしてこれ以上父親に人殺しをさせないよう止めてほしいと願った。
阿久津は北海道へと来ていた。
私たちは阿久津のもとへと急いだ。
そこにゲンさんも現れるはずだ。
その時、阿久津の後援会を装っていたヤクザがゲンさんを取り囲んだ。
危ないっ、ゲンさんを助けなければ。
シュンは果敢に飛びかかった。
晴海ふ頭から始まった連続殺人事件は解決した。
私も東京に帰る時が来たようだ。
それから1か月が過ぎたころ、北海道のシュンから手紙が届いた。
そこにはシュンとまきこの結婚式の写真が添えられていたのだった。
船と一緒に沈められた父親の仇を取るためゲンさんは一味を次々と殺していくわけですが、その殺害方法はいずれも父親と同じ水死でした。
作中ではそれについては特に語られはしません。
しかしクリアすると「あぁ、そうだったのか」と納得させられます。
それにしても1か月で結婚まで持っていくなんて、シュンは結構なやり手ですね。
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