No.3:つや声になる~『くちびるの魔法』

 

今回、このブログシリーズで初めて、

『音声生理の法則』らしい内容に踏み込みます。

 

『くちびる』の状態は、

その時の感情や体の状態などに、

幅広く関係しています。

体の中でも大変敏感な部分です。

 

『くちびる』の部分だけしか見えなくとも、

つややかで、シャキッとして見えると、

目つきもはっきりと覚醒している

状態がわかります。

 

また、ボテッとした感じに見えて、

特に口の端・口角部分にしまりがなく見えると、

目つきをはじめ、顔つき全体が、

寝ぼけたような表情になってきます。

 

『くちびる』の神経は、

生理的に体の広範囲の筋肉と、

そのそれぞれに関係する神経に、つながり深く、

綿密に、決まった連携反応を起こします。

 

なんだか、言葉でこのように説明すると、

難しそうで、わけわからない感じですね。

 

具体例で考えると、とても分かりやすくなります。

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例えば目の前に、

うどん等の麺を、一本ぶら下げて、

口を非常に狭めて、静かに息を細く吹いて

その麺の熱を冷まそうとします。

 

皆さんも、日頃ラーメン屋さんなどで、

よくやっているパターンだとと思います。

それを、丁寧に、かつ少し大げさに

再現してみてください。

 

必ず、下腹部の筋肉が連動します。

 

特に、息を静かに吹き付ける、

その動作の始まりに、

下腹部の筋肉の動きが、観察しやすいです。

 

普通の呼吸で息をはく時の何倍も、

下腹部の筋肉テンションが上がるのを

感じられるはずです。

 

息をより細くしようと、すればするほど、

下腹部でも、より(左右の)中央付近に

テンションが高まってきます。

 

可笑しくて、

思わず笑い声を噴き出してしまった時の

下腹部とくちびるのテンション、連動が

まさにこの状態です。

 

特に、少しでも笑いをこらえようとすると、

くちびる、下腹部、双方の中央が

かなり敏感に働きます。

 

『くちびる』の、(左右の)中央付近を

敏感に働かせると、

呼吸筋として働く下腹部の筋肉が、

完全に連動するのです。

 

この時、発声器官である声帯は、

先端の働きが敏感になり、

声帯の振動する部分の幅を、

前後に短くせばめて働きやすくなり、

高音が出しやすくなります。

 

つまり、笑いたい気分の時の

くちびると下腹部の状態にすると、

声は明るくなり、

高音も出しやすくなります。

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女性は普段、

あまりやらないかもしれませんが。

何か、プレゼントでも貰った時のように、

ちょっと嬉しいビックリで、思わず

 

『オ!・いいね』

 

と声を発してしまった時、

この『オ!』を、短くシャキッと

発音していればしているほど、

口の端・口角もシャキッと敏感に

なっているはずです。

 

口角は少し左右に引き締まり、

というよりは、少し前方に

突き出すように敏感に動きます。

 

この時必ず、ウェスト左右の筋肉も

シャキッと敏感に引き締まります。

 

口の端・口角の神経は、

完全にウェスト左右の筋肉と連動します。

 

また、口角がシャキッと敏感になり、

ウェスト左右の筋肉も

シャキッと敏感に引き締まると、

首から仙骨までの体幹を

伸ばしたくなります。

首をすくめたり、猫背の姿勢ができません。

 

逆に、口角がだらけ、よだれでも垂らしそうな

ボケっとした顔つきになると、

必ず、ウェスト左右の筋肉もだらけます。

良い姿勢をしようと思っても、

姿勢も崩れやすくなります。

 

これが顕著に働くと、声の音色は柔らかくなり、

声帯の閉鎖(力みなどによるノドの締め付け)を

敏感なままゆるめてくれます。

 

声の響きは、頭頂から真上、

天井方向へ響きやすくなり

この働きが強い声ほど、女声や少年合唱などが、

教会の会堂で柔らかく響く、

『天使の歌声』と呼ばれるような、

『頭声』の働きの強い声となります。

 

この、口角とウェスト左右がしっかりと、

敏感に働くと、ノドを締め込みすぎて、

声が詰まってしまう状態の人の対策には、

最も重要なものになります。

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『くちびる』は、もちろん言葉の発音に

大変重要な働きをします。

 

しかし、声の音色をはじめとして、

声帯とその周辺の発声器官のコントロールに、

大変深くかかわり、

多くの呼吸筋と完全に連動していること、

ご理解いただけたかと思います。

 

『だったら、どうすればいいの~???』

 

と言われてしまうので、

前置きが長く、遅くなりましたが、

ここでやっと今回のお題、

つや声になる~『くちびるの魔法』

副作用の非常に少ない、

安全で簡単な練習方法をご紹介します。

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つや声になる~『くちびるの魔法』

 

『鏡』を用意してください。

手鏡などの、できるだけ小型のものを。

 

バレエの練習など、

鏡を見ながら練習をすると、半分無意識でも、

余計な力みが抜けやすくなり、

バランス良い動きが身に付きやすくなります。

 

歌の場合も、姿見など大きな鏡で、

全身を見ながら練習することは大変効果的です。

しかし、これだと発声表現のロスを減らすのに、

ちょっと大雑把になりすぎます。

 

手鏡などの小型の『鏡』で、

『くちびる』(とその周辺鼻の頭くらいまで)だけを

よく観察しながら、歌う練習をしてみてください。

もちろん前回のブログでご紹介した、

発音練習等もあわせて、練習してみてください。

 

一番のポイントは、

『常に、くちびるが美しく見えるように動く』

こと。

 

敏感に、くちびるが美しく見えるように

動いている時、発声による余計な力みは

取れやすくなります。

 

そして、何よりも『くちびるの感覚』が

敏感になると、基本的に、声帯のひだ、先端部分が

敏感に働きやすくなり、

声は必ず『つや』を増します。

 

声がハスキーで、お悩みの方は、

特に柔らかく、丁寧に『くちびる』の動きが

意識できるように、まめにチェックしてみてください。

 

誰でもくちびるの『合わさりめ』は敏感です。

通常、口角や、くちびるの『外縁部分』が、

鈍りやすくなります。

ここを、特に意識して歌の練習してみてください。

 

女性でしたら、『口紅』を丁寧に塗って、

特に『今日は最高にきまったぞ!』と思った時、

特にこの、くちびるの外縁部分が

敏感になっていると思います。

 

美しくなろうとする意識、

お化粧は、声のためにも良い影響を及ぼします。

 

とはいっても、男性諸氏が声の改善のため、

『口紅』を塗ることから、

そっちの趣味にはいってしまうこと、

お勧めしませんが!?

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次回は、

No.4:『目は口程にものを言う』

 

をお伝えします。

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・・音声生理学者・小山裕之