空はどこまでも続いている | オクノスタイル

オクノスタイル

福岡を中心に、オリジナル曲を歌ったり、語りと即興音楽のライブをやったり
写真を撮ったり、物書きしたり

日々の様々を自分目線で書きつらねてます



実家に戻って一週間が過ぎた

少し余裕が出て、父の3輪自転車で近所をぶらぶらしていたら、おしゃれな唐揚げ屋さんを見つけた

唐揚げ屋さんなのにポテトを買って、小雨にうたれながら道の両側に広がる稲を眺めている


懐かしいような
ぜんぜん懐かしくないような

へんな気分だ



住民票が必要になって、出張所に来た

家は市内でも端の方で、市役所とは逆方向で遠いこともあり
昔から、出張所は割と身近な存在だった

出張所には図書室があって、小学校の頃よく通っていたことを突然思い出した


何十年ぶりに入ってみると、ものすごく小さい
本も、むちゃくちゃ少なくて

もちろん当時とはラインナップが変わってると思うし、あの頃わたしは小さかったから


映画の予告につられて、次はこれにしようと映画館についつい通ってしまうみたいに、次に借りる本をいつも物色して帰るから、結果エンドレスループだった

読みたい本は沢山あって
知らない世界が満ちていた

だから、大きくて広く感じていた部分もあったかもしれない

空間って、自分の感じる世界の大きさなのだ



すぐ裏に、仲良しのお友達のうちがあった

動物好きの彼女の家には、半分ノラみたいな犬とか猫とかうさぎとか鳥とか亀とか
とにかく生き物がいっぱいいて、まるでムツゴロウ王国みたいだった

その彼女も、病気で数年前に亡くなった



わたしは、深く深く息を吸う

「記憶」とは、「消えないもの」のことなんだな



地元は長崎で、大学進学を機に福岡へ上京した

それから30年以上福岡で暮らしていたことになる

いつの間にか、実家で過ごした年数をとうに超えていた


福岡では、わたしはある意味チャレンジャーだったんだなと思う

そんなにガツガツいけるタイプでは無いけども、常に、何かを探していた

居場所を見つけるために、必要とされるために、自分だけで立つために

それはむちゃくちゃ楽しいことで
きっと、むちゃくちゃしんどいことでもあった


人に翻弄されて
いつも人に救われた


実家に帰ったときが、ありのままの自分だという訳でもない

たぶん、全部自分だから

結局、どこにいようと構わないのだ


空は遠くて広くて、どこまでも続いている



久しぶりに仕事をしている

朝は早いし、パンプスで足は腫れるし、もう挫けそうだ

だいぶぐうたらしていたから、体が慣れるまで、まだまだかかるかな


それでも、毎日、朝の美しさに驚いている

あの朝日の向こうから、今日という1日が生まれているんだと思うと、感動して、電車に遅れそうになる


わたしも、みんなも、あそこからやってくる1日を過ごしている

それは、本当に贈り物だ
誰かしらないモノからの


情報をとったり、情勢を把握したり
健康を気遣い保険に入り、将来のために貯金したり
勉強したり、挑戦したり

世界に積極的に働きかけて、置いて行かれないように

怠けたり、不真面目な自分をダメだと反省したり


何ともいじらしく、私たちは、それぞれの場所で頑張っている

時に右往左往して、途方にくれながら



大丈夫なんだ

ここから始まっているんだから