「ミステリー・スリラー × BLロマンス」という挑戦的な設定。
これは成立するのか?という不安もあった。
しかしその不安は拭い去られ、私の心は満たされた。
それはJoongDunkの関係性が、すべてを成立させていたから。
(※ネタバレ有りです。他作品の名称等が出るのはNGな方はご注意下さい)
(※Netflixで視聴:Dare You to Death)
■制作会社:GMM
■キャスト:Jade(Joong Archen Aydin)、Kamin(Dunk Natachai Boonprasert)
■ジャンル:ミステリー・スリラー × BLロマンス(タイBL)
なぜ主役はJoongDunkだったのか|作品構造から読み解く必然性
Netflixには、「タイBLドラマ」がほとんど存在しなかった。
日本やアメリカ、他国のBL作品はあったが、タイBLだけは、その存在感が薄かった。
そこに満を持して登場したのが、この「デア・ユー・トゥ・デス」。
広い間口に受け入れられる「圧倒的な美」は必須で、なおかつサスペンスパートに重厚感を与える為「大人の魅力があふれる逞しい漢×漢のCP」である必要があった。
そして、CPのケミが素晴らしく「エモい、心が鷲掴まれる」BLとしての尊さと、放たれる強烈な色気も絶対に必要。
そしてこれは、片方だけが色気を大爆発していても成り立たない、両者ともに爆発的な魅力が必要だった。
この厳しい難題すぎる条件、JoongDunkだからこそクリアし、成しえたのだと思う。
なぜなら、これはサスペンスジャンルの為、その部分に「重厚感」と「ストーリー性」を置くと、どうしても「BLパート」に使える時間が限られる。
その限られた時間や制約の中で、ここだ!というポイントで瞬時に魅力を大爆発させ、観る者の心を強烈に掴む必要があった。
BLパートの発展スピードがとても急で情緒に欠けると言う意見があるのはわかる。
作品の本筋の脚本や展開、BLパートの扱いに、恐らく憤りを感じる人も多いだろう。
それらの感覚は正しいと思う。事実、私も思うところがある。
ただ、じわじわとゆっくりと愛を育て、心の機微をこと細かに丁寧に表現する余地はJoongDunkには与えらなかった。
ふとした瞬間に感じる「ひとめ惚れ」に近い熱量、急速に惹かれ合う心情。
僅かな触れ合いから「互いを意識している」事をエモさを含めて伝える技量。
数多ある制約をすり抜けて漏れ伝わるエロスと逞しさと美しさは、とても心惹かれる。
JoongDunkの瞬発力のある爆発的な色気は本当に素敵だったし、目が奪われた。
あわよくば、もっと丁寧に二人の恋愛を堪能したかったという気持ちが残る。
限られた環境下で、出来うる限りの最大限のパフォーマンスを放つJoongDunk、彼らはまさしく主役。
彼らが主役だからこそ、ラストまで完走できたと思う。
ただひたすらに、私はJoongDunkが好き。
JoongDunkの関係性の破壊力と、加速する魅力
ここからは、「JoongDunk大好きフィルター」が掛かった私の個人的な少々ハイテンションな感想。
圧倒的な魅力とCPとしてのエロスを兼ね備え、なおかつサスペンスパートに馴染む「大人の漢同士」、この設定、神がかってる。萌える!
不穏極まりない事件に共に挑む「かけがえのないバディ感」「逞しさ」は、この作品における大好きポイント。
「Kamin」を「min」と呼ぶとこ、ちょっとツボ。
Dunkが上司で、Joongが部下。「同僚」ではない、上下関係のある立場。
一転して、恋愛においては、Joongが攻めており、Dunkが受けている。
公私でパワーバランスが移り変わり、マウントが入れ替わる、この逆転現象。
ここにJoongDunkの魅力が詰まってる!
いつのまにか、上下関係の垣根が取っ払われているのは気のせい?気にしない!
お互い本能的に惹かれ合って、「耐えられるなら、耐えてみろ」二人が挑発するシーン。胸キュン!
直接的な表現じゃないのに、ダダ洩れる色気、強い!
JoongがDunkを労り、傷の手当てをするシーン、見つめ合うだけで色気がダダ洩れている。
Joongからキスをし、Dunkからもキスをする、なんて尊い!
自分に動揺するDunkは可愛すぎるし、思いのほか振り回される事に悶々とするJoong、愛おしい。
もっと熱烈に愛するシーンが観たい!それでも満たされる、二人の色気に。
寝かしつけするJoongのDunkへの優しい眼差しにも色気が漂う、癒される。
SingからのDunkへの気持ちを阻止しようとマカロンを一気に頬張るJoong、可愛い!
直接的なシーンは少ないし、いいところで終わりになるけれど。
二人の間に流れる空気感やエロスや視線、挑発やセリフとか、自分の欲と戦いつつ抑えてる感じとか。
そういう「色々」に目が奪われる。
プリクラを撮る時、二人はカチューシャを付ける。Joongが狼の耳、Dunkが猫耳。…大正解。
スパーリングしながら放つ色気、倒れ込む二人、見つめ合う二人。最高!
銃撃シーンで、Dunkに支えられながらも発砲するJoongに溢れる色気。強い!
これぞバディ×BLのケミ!
ep6とep7と最終話のJoongDunkには、最早、何といえばいいか分からない。息を飲む。尊い。
あわよくば、もっと観せて、その先を!
サスペンス考察|真相と違和感、その正体について
あまりに主役CPの恋愛パートが魅力的だった事と、事件自体にジグソウを連想させる何かを感じていたため、その事件の凄惨さと展開と構成ゆえに、真相について深く考察しながら観る事ができなかった。
少しだけサスペンスパートには心の距離を取って、ただ発生する事件を眺めて観ていた。
真犯人、事件の本当の動機、そういったものを推測する気力を悉く削ぐミステリーパート。
連発する違和感。
ただ、なんとなく犯人はPahnとSingかな?と想定していたら、…当たってしまった。
だってPahnはLeap Dayで、Singに至ってはNot Meで、強烈に輝いていたから。
脇役で終わらすのは勿体なさすぎる。
火サスの定番「実力俳優が脇役で登場したらソイツが犯人だ!」の方程式、万国共通なんだなと少々感慨深い。
真犯人と明確になった後の、追い討ちをかけるかのような狂気を纏って最後の力を振り絞って復讐を果たしていく所は、人の歪みを表現しているかのようで、とてつもなく痛々しい。どこか金田一的な、やりきれない痛みを感じた。
本来、こういったストーリーの場合、主役に対して「仕事の出来る刑事という設定なのに、なぜこんなにも事件が連続して発生するのを赦すのか、もう一歩その先、防げないのか!」と思う事が多々ある。
でも事件が連発しないとストーリーとして成り立たない、進んで行かない、このジレンマ。
この作品も、それは例外ではない。
しかもあろうことか、このジレンマを「BLドラマであること」で表現してくる。
なんという挑戦…。なんという難題を課せられたのだJoongDunk!
「本来仕事の出来る刑事が、今まで自分が感じた事のない初めての衝動に、愛に、欲情に囚われ、ちょっと周りが見えなくなっている」状況だから、事件の連続発生を止めきれなかったのだと。
恋に溺れている、愛に囚われているからだ、と。
刑事としては確かにどうかと思う。
ただこの違和感を拭い去ってくれるのも、また、BLドラマゆえ。
JoongDunk大好きフィルターが発動する。
「刑事としては考えてしまうけど、人間としては…仕方ないか。彼らの、愛ゆえだものね。夢中になってしまうよね。」
…BLドラマゆえに軽々と私の違和感を超えてきてくれた。
JoongDunkパワー、恐るべし。
タイBLの根底にある「ハッピーエンド」さが、この禍々しいストーリーでも発揮されるのか?と、その不安はあったが、唯一その概念に救われた事がある。
この次々と惨殺されていく凄惨な流れの中で、「せめてJoongDunkには幸せであってほしい」と心底願っていた。
その思いは、JoongDunkを取り巻く「近しい者」にも向けられ、どうしてもJadeの弟役Jayが殺されるシーンだけは観たくないと思っていた。
彼が生き残るべきか否かという客観的思考よりも、心が願っていた、「愛する家族を失い悲しむJoongを観たくない」と。
…本当に良かった。私にとっては、ここがタイBLドラマ属性ゆえの救いだった。
なぜ最後に救われるのか|JoongDunkがもたらす癒しとは
ストーリーの中心に据えられたサスペンスパートは、人の醜悪さや自己中さにまみれており、とても禍々しい。痛々しくて、観ていられない気持ちになる。とにかく苦しい。展開についていけない所もある。
それを緩和して、癒してくれるのが、JoongDunkの愛のパート。
彼らの愛の溢れるシーンは、この作品における「癒し」であり、サスペンスパートの凄惨さや心が疲弊し鬱々となるヒリついた気持ちを、見事に浄化してくれる。
特に最終話の癒し効果。
サスペンスパートの結末の悲痛さが残る中、急すぎる恋愛モード全開な展開には、違和感を覚える。
ただ、それがあったからこそ、サスペンスパートの悲痛さを丸ごと包み込んでくれるJoongDunkの愛のパワーのおかげで、最後には優しい気持ちに包まれた。
あのバカンスでの想像に委ねられた愛するシーン。
窓から差し込む眩い光の明るさと、すっかり暗くなった夕食までの時間、とっぷりと暗い夜の感じ。
どれだけの長い時間を、二人は共に過ごしたのだろう。観たかった。
ちょっとした可愛いやりとりに溢れる「愛」に、お互いを求めあう愛に溢れる「尊さ」に、二人のケミに、ただただ癒された。
観終わった後、脳内に残っているのは、JoongDunkの愛溢れる姿。
