大嫌いは大好き
沖「なんでィ、こんなこともわからねェのか」
「う、うるさい!」
私は今、クラスメイトの沖田に勉強を教えてもらっている
事の発端は、銀八が決めた適当な『勉強できるやつができないやつを教えろー』と、いうなんとも手抜きな授業からはじまった。
沖「お前ェ、何人に教えてもらってる分際で文句つけてんでィ」
「別に教えてもらわなくてもいいし!ってか、真面目に人に教えてるの、あんただけだし」
そう、本当に真面目に勉強を教えている人は沖田以外誰もいない。みんな自習だからサボりに行ったり、遊んでいたり、寝ていたり…と、それはそれはみんな自由である。
沖「ったく、あんたは全く分かってやせんねィ」
「何がよ」
沖「内緒でさァ」
「何よそれ」
沖「まあ、後で教えてやりまさァ」
沖田は何か意味深な言葉を残し、もう一度教科書に向き合った。
それから少しして、授業が終わるチャイムがなった。
沖「あ、そうそう」
と、帰ろうとしたら沖田が話しかけてきた。
「何」
沖「勉強、教えてやらァ、さっきの問題、途中だっただろィ」
「え、いいよそんなの」
私は勉強が大嫌いで、沖田も嫌いだし、放課後までもこの二つに囚われたくないと思い、即断る。
沖「お前に拒否権なんてありやせん」
「は、意味わからん」
沖「へ~、そんな事言っていいんですかィ?俺ァ、なんでも知ってんだぜ、お前の、あ~んな事や、こ~んな事まで」
と、言う沖田は、すごい程の笑顔で…でも目は笑ってないような、そんな、なんとも言えない恐ろしい表情をしていたので、断る事はできなかった。
「っ…わかったわよ」
沖「それでいいんでィ」
「ねぇ、これいつまでやるつもり?」
私がそう言ったのは、もう外が真っ暗になったときだった。
沖「そうだねィ、じゃ、最後に」
最後、という言葉に激しくテンションが上がる私。
沖「ご褒美、下せェ」
次の瞬間、思わぬことをされ、私が真っ赤なりんごになったっていう話は、またの機会に。
沖「内緒って言ったことの理由、わかりやしたかィ?」