豊橋に行ってきた(3)伊良湖岬
翌朝早めにネットカフェを出発した。新豊橋駅で伊良湖フリーきっぷを購入する。渥美線全区間と三河田原から伊良湖岬までのバスが1日乗り放題で2300円。常備券ではなく、購入する都度ゴム印を押す今時珍しい方式の切符だった。 渥美線は東急7200系の中古車両で運行されている。各編成が異なる色で、花を描いたヘッドマークも取り付けられていて、カラフルである。 三河田原駅はローカル私鉄の終着駅とは思えない新しそうな大きい建物だった。立派すぎるほどだと思ったけれど、駅として使われているのはの一部だけで、他は市の案内と休憩場所として利用されている様子。市のお金で建て替えられたのかもしれない。 1時間ほどバスに揺られて伊良湖岬に到着。田原駅前を発車した時点ではそこそこいた乗客は途中ですべて下車し、終点まで乗り通したのは私一人だった。フェリー乗り場を覗いてみると、伊勢湾フェリー以外の離島航路は強風のため運休とのこと。 遊歩道を灯台に向かう。非常に風が強いので、台風の日のように体を斜めにして歩く。それでも時折押し戻されそうになりながら漸く灯台にたどり着いた。強風のおかげか眺望は良く、神島がくっきり見える。その向こうの陸地は伊勢市辺りだろうか。灯台自体は、1929年に建てられた15メートルあまりの小ぶりなものである。 バス停やフェリー乗り場があるのは岬の北側にあたる。山を越えるように南側へ出ると景色は一変、広い砂浜に出る。太平洋に面して伸びる恋路ヶ浜である。非常に風が強いので砂が吹き飛ばされてパチパチと顔に当たって痛い。奥のほうに、水平線に浮かぶ岩がある。日出の石門とよばれる名所だそうだが、強風の中歩きにくい砂の上をあそこまで行く気になれず断念した。 行きと同様にバスと電車を乗り継ぎ新豊橋に戻った。時刻は15時、少し早いがホテルに向かうことにしよう。 昨日はネットカフェで一夜を過ごしたけれど今日はちゃんとしたホテルに泊まる。豊橋駅西口から近いホテルを5300円で予約してある。ニュー東洋ホテル1。中規模のビジネスホテルで部屋は広くはないものの、私には必要にして充分な設備である。平成レトロな雰囲気が感じられてむしろ好ましい。ターミナル駅直結の高級ホテルなどよりかえって気楽で落ち着ける。 ホテルを選ぶときは、なるべく画一的な全国チェーンを避けてその街ならではの小さめな所を選ぶようにしている。当然当たりはずれはあるけれど、リーズナブルで快適なホテルを見つけるのも楽しみのうちと考えている。そんな、アパホテルや東横インには一度も泊まったことがない私なのである。