141冊目

コフィン・ダンサー/ジェフリー・ディーヴァー

コフィン・ダンサー

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あらすじ

棺の前で踊る男・コフィンダンサーと呼ばれる

殺し屋によって仕掛けられた爆弾により、飛行機が

爆破された。疑いをかけられたある企業の男が

証人となる3人を殺すために彼を雇ったのだった。

リンカーンライムは鑑識により残り2人の証人を

守り抜くことが出来るのか？

感想

ファンの方や愛好家の方には不快に思われる表現かも

しれませんが）今作も海外ドラマの神回を観たような

読後感でした。前作より後半の爆発力が増してる感覚

でした。綾辻行人さんの館シリーズや、三津田信三さんの

「〜如く〜もの」シリーズも（素晴らしいこと前提で）

2作目は割と薄味なので、どうかと思いましたが、

着実に旨みが増してました。

＊早いですがここからネタバレ含み気味です。

前作同様、ベースはひとつの事件を皮切りに

リンカーン・ライムのチームが、犯人の犯行を

鑑識により防ぐのと、優れた頭脳を持つ犯人との

攻防戦で進みます。何となく本作はリンカーン押され

気味の印象でした。サックスの活躍やデルレイの

活躍でギリギリ最小限の重い犠牲に留まった状況が

収まったあとの謎を解明する感じでした。

前作からのサックスの成長と、そこまで成長しない

2人の間柄、前作で人となりを知って深まった

登場人物の個性が面白かったです。

中盤から残りページ的にもここでは終わらないと

わかっているのにクライマックスじゃない？と

思うほどの緊迫の連続で、終章で粉塵爆発のように

連鎖する真相まで、長いのに飽きさせない作品でした。

惜しむらくは私の頭の悪さですね。おそらく細部まで

覚えていればもっと驚けたのになと。

「うんうん、え、それは驚くけど何で？えーと

何か怪しいところがあったんだろうな、

覚えてないだけで」

と、聞き逃したのにみんなが笑ってるから

笑いながら適当な相槌をして、会話の中でどこが

面白かったのか知ろう的なふわっとした

作者泣かせな状況を一読目で味わってしまう

勿体無さです。読み返して「あーあーなるほど」と

なるので、乾くるみさんの「セカンド・ラブ」や、

ドラマ化して映像化しないと理解できなかった

森博嗣さんの「すべてがFになる」を読んだときと

似たような（本作のは大体はわかるので軽度ですが）

感覚でした。

リンカーン・ライムシリーズで評価の高い

「ウォッチ・メーカー」までまだまだですが、

厚い2行組の本なのに全然苦じゃないので

（綾辻行人さんの『暗黒館の殺人』はこの構成で

上下あり暗闇の最底部の雰囲気が続ききつかった）

楽しんでシリーズを追おうと思います。

ガーター

（本筋とは関係ないけど連想した感想）

○ 日本ではあまり色濃くない表現

『ボーン・コレクター』のレビューでも書きましたが、

私は海外の作品をあまり読まずに来ました。

なので、国内の作家さんにもいるかもしれないのですが、

本筋中にその人物のエピソードが入ります。

例えば、

ジョンは嫌な予感がした。サマーキャンプでスティーブがいなくなったときのように

みたいな文章や、海外では有名らしい著名人の名前が

喩えに出たりすることに違和感を感じ、

読みにくいなあと思ってました。

しかし、2作目を立て続けに読むと慣れてきて、

逆に登場人物の性格や経緯を効率的に深めているなと

感じるようになりました。

ゾンデと言う医療器具や、海外の古いマンガの

キャラクターも、出て調べながら読むと

知識と自分のボキャブラリーも増えて素晴らしいとさえ

思うようになりました。

○ 貞操観念

やはり、海外ならではのすぐにベッドシーンに

行きそうになる「奥ゆかしくなさ」は

馴染まないですが。（場合によっては登場人物に

引いてしまうことも）

まあ、それが海外の文化的なものなのかなと。

星新一さんのショートショートで、地球人に似た

美人な宇宙人との交流の際に地球人の男性が下心から

「この星の挨拶はキスをすることなんです」と言って

キスを挨拶にする。宇宙人は不思議がる。

何故ならそこは地球上で言う肛門だからだった。

的な話があるのですが、要するに行為自体の

ウェイトや質が違うのかもしれないなと。

日本人の一線と海外の人の一線では幅が違うのかなと。

それか、ただ単に重ねた経緯を省略した上でという

奥ゆかしさは、海外の人にとっては日本人より

当たり前なことで、「いきなりベットインかよ」と

日本人が言うと「いやいや日本人どんだけスケベなんだ？

何度もデートしたうちって言うのは息吐くくらい当たり前だろ？いちいち表現しないよ。結論ファーストさ」と

しっぺ返しを喰らうくらいなのかもしれないと。

と言うか、少年少女漫画日本のミステリで凝り固まった

ウブ脳にはリアルな大人の情事事情が馴染まないのか。

作品には奥ゆかしさを求めてしまう。

141冊目 コフィン・ダンサー/ジェフリー・ディーヴァー

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