シャーロック・ホームズの凱旋
森見登美彦
※全体的に展開のネタバレ的な感想になったので、
読む予定がある方はこのまま当ブログから
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あらすじ
なかなかこの物語のあらすじを説明するのは難しいですが、
何故か京都を舞台に繰り広げられる、
シャーロックホームズの登場人物達の物語です。
名探偵と名高いシャーロックホームズはスランプに
落ち入り事件を解決出来なくなる。
そして、正統な作品では最大の敵である
モリアーティ教授もスランプに落ち入り自信を
無くしており、ひょんなことから2人は
スランプを抜けるために手を組む。
そんな中、若き頃のホームズが解決出来なかった
不可思議な少女消失事件へと向かうことになり…
と言った感じの流れです。
感想
森見登美彦さんらしい、
独創的であちこちに綺麗に散らかされたファンタジー
と言ったお話です。注意して欲しいのは、
決してミステリ小説ではないと言うことです。
シャーロキアンがホームズに会おうと思って読むと
色々踏襲してあり、著者もホームズが好きなのは
伝わってくるけど、
「私服のダサい憧れの先輩と
遭遇した、油断した格好で親と来たイオンの日曜日」
的な何とも言えない既視感を味わうことになると
思います。
本格ミステリや新本格ミステリを愛する人は
終盤の盛り上がってきたところでの理屈や理論を
ど返しした超絶和風ファンタジー展開に
怒りすら覚えると思います。
実際、ここ数年は現実的なミステリばかり読んでいたので
ここまで訳の分からない展開になると
少し腹が立ちました。
しかし、読了後、清々しい爽やかな気持ちになります。
森見登美彦さんの作品にある、
健全で少し間抜けな10代のように純粋な
和風ファンタジー(京都ファンタジー)は
健在だなぁと思います。
20代の頃はミステリにハマっていなかったので、
隆慶一郎さんと森見登美彦さんの小説ばかり
読んでいました。なので、
読み手として森見登美彦イズムに
耐性が残っていたのだと思います。
前半、
「ああ、シャーロックホームズの登場人物で遊んだ
のんびり劇か」と思うもミステリ的な流れになり、
中盤に
「ああ、ミステリと違うのか」となり、
クライマックスに差し掛かると、
「いやまて、これはファンタジーとミステリの
混合なのか?」
となるけど、終盤、
いや
ちゃうんかーい
となります。
かと言って、森見登美彦作品に会いに来ても
そこまで森見ってはない、
でもホームズに会いにきても、
知人から聞くホームズの話
程度しか会えない。
ただ、残念ではないし、つまらなくはない。
読むのが苦痛ではないし、ページは進む。
失敗したとは思わないが、良い作品に出会ったとも
言い難い。
ドリンクバーで自作したカルコーラ
(カルピスとコーラ混ぜたやつ)が
氷入れ過ぎてて薄くなった。
的な美味しいけど、美味しいけれどの
感想でした。