米国時間の2021/6/24、Microsoft社は「Windows 11」を発表しました。

 

 

Windows 10はWindowsの最後のバージョン」という話は結果的にウソだった、ということです。

 

Microsoft社の言うことを信用する方が悪い」という意見は非常に正論だと思いますが、恥ずかしながら私自身も「Windows 10は最後のWindows」だと信じていました。今回でかなり懲りました。本当に信用するものではないですね。

 

そして、8/19(米国時間)には、「Windows 11 Insider Preview」のISOイメージ(OSビルド 22000.132)がリリースされましたので、これを使用して評価用のPCにクリーンインストールをし、少し真面目にいじり始めています。

 

面白いことに、クリーンインストールした場合は、「Windows Insider Program」でMicrosoftアカウントの設定などをしなくても、そのままその後のベータチャネル相当の累積更新プログラムが受け取れるようです。

 

9/1時点で、OSビルドは22000.160になっています。

 

そしてこれもまた、結果的にどこまで正しいことになるのかは判りませんが、Windows 11のシステム要件は「UEFI、Secure Boot、TPM2.0、DirectX 12(WDDM 2.0)」などと言われています。

 

CPUは「1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC)」とMicrosoft社のWebには記載されていますが、基本的には第8世代以降のCPUが対象になるようです。

 

第8世代CPUを搭載したPCは、大雑把に言うと2017年頃からリリースされていますので、それより旧いPCはWindows 11に出来ない、という意味では、結構厳しいシステム要件だと感じられるでしょう。

 

それよりも古いPCを使用している場合は、Windows 10のまま使用し続け、Windows 10のサポート期限である2025/10/14までに新しいPCに移行する必要があるようです。

 

厳しいシステム要件だとは思いますが、ある程度のタイミングで新しいPCに移行することについては、いろいろな意味で賛成ではありますので、システム要件があることについては特に異論はありません。

 

ただ、コンシューマーが使用するHomeエディションで、TPM2.0が具体的に何の役に立つのだろう?などの疑問は残ります。

 

Proエディションであれば、BitLockerが使えますので、TPM2.0の意義があるのは判るのですが。。

 

それと、CPUの要件をそこまで厳しくするのであれば、むしろ「SSDまたはeMMC」も要件に加えて、HDDのみのPCはサポート外にした方が、現実に即しているように思います。

 

こないだHDDモデルのPCを買っちゃったんだけど、これじゃダメなの?と思うでしょうが、この期に及んでHDDモデルを買う方が悪いのです。売る方はもっと悪いですが。

 

肝心の「Windows 11 Insider Preview」に話を戻しましょう。

 

Insider Previewの段階では、上記のようなシステム要件とは関係無く、インストールが出来るようですので、興味があれば、セカンドマシンなどを使用して、試用してみると良いでしょう。

 

くれぐれも、メインで使用しているPCに適用してみよう、などとは思わないことです。

 

私が少しいじってみて、一番気になるのは、「ある機能にたどり着くためにあったルートがことごとく無くなっている」という点です。

 

例えば、「プログラムと機能」という、デスクトップアプリの一覧を表示する、昔からの機能があります。

 

Windows 10であれば、「アプリと機能」の画面に「関連設定」として「プログラムと機能」を起動するリンクがあったのですが、Windows 11ではこれが無くなっています。

 

 

同様に、「電源とスリープ」の画面には「電源の追加設定」というリンクがあったのですが、これにあたるものも無くなっているようです。

 

 

「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外すまでの手順がかなり面倒になるように思います。

 

 

もっと判りやすいのは、スタートメニューのアプリ一覧です。

 

アプリ一覧を表示させるために「すべてのアプリ」をクリックしなければならないというのもひと手間なのですが、メニューの構成が大きく異なっています。

 

 

私が良く使用していた「Windowsシステムツール」や「Windows管理ツール」というメニューグループはごっそり無くなっており、「Windowsツール」というコントロールパネルライクなものの中に納まる形になっています。

 

 

 

この部分に関しては、むしろ退化した印象を受けます。

 

ペイント」や「メモ帳」については、ストアアプリになって、他のストアアプリと同列になっているようです。

 

 

アクションセンターの雰囲気がだいぶ変わってしまったのにも、違和感を感じます。

 

 

それと、これは私だけかも知れませんが、「エクスプローラー」などでファイルを右クリックした時に出てくるメニューの中に「コピー」「貼り付け」「名前の変更」「削除」などの文字が無くなり、アイコンをクリックする形になってしまったのが、地味に慣れません。

 

 

Windows 10の中でも、バージョンアップによって同じような小変更はありました。

 

こういう変更で大きな影響を受けるのは、手順書(マニュアル)を作成している方ではないかと思います。

 

出来るだけ簡単な手順で操作すべき画面に行き着くようにマニュアルを書いているものが、全く使い物にならなくなったりしてしまう訳です。

 

そして、このようなGUIの変更は、「使い易くするために変更した」ものではなく、「新規感を出すために無理やり変更してみた」もののように私には感じられます。

 

まあ、Windows 10の操作に慣れていれば、Windows 11に移行しても、それほど戸惑うようなところは無いでしょうが。

 

そして、Windows 11の本質は、「古いスペックのPCを足切りするために、システム要件を変え、それを正当化するために名称を変えた」ものだと思います。

 

そして私は、必ずしもそれを悪いことだとは思っていません。

 

ただ、「新しいOSだから新しいことが出来るはず」と期待してWindows 11にバージョンアップすると、肩透かしを食うと思います。

 

従来、機能更新(バージョンアップ)の頻度が半年に1回だったものが1年に1回となり、各バージョンのサポート期間が18か月だったものが24か月になる点については、良い機能強化ですので、この点を評価してバージョンアップするのであれば、判ります。

 

ただ、Windows 10の方が、今後も半年に1回づつバージョンアップしていくかどうかは判りません。

 

取り合えず、「Windows 10バージョン21H2」というものはリリースされるようですが、その後も22H1、22H2、・・・と続くかどうかは何とも言えません。

 

当然ですが、企業ユーザーの場合は、Windows 10を使い続けるでしょうから、Windows 10のメンテナンスが今後どうなるのかの方がよほど気になるでしょう。

 

21H2で打ち止めで、その後はそのバージョンをメンテナンスする、という感じに落ち着くのではないかと推測しています。

 

いずれにしても、冒頭に述べたように「Microsoft社の言うことは信用しない方が賢明」であることは、今回のことで良く判りました。

 

つまり、Windowsユーザーは、何も信用出来ない中で、今後自分のPCをどうすべきか判断しなければならない、ということです。

 

もし私が親しい友人に本音のアドバイスをするとしたら、「しばらく様子を見た方がいいよ。」ですね。