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大きく輝く1つの星を見つけた。
まだまだ若かった女は、
何も知らないままその輝きを追って暗闇に走った。
どんどん入口の光が遠ざかって行った。
女はそれでも輝き以外を見ずに前へ進んだ。
気付くと前には光すらなくなっていた。
いたのは1つのあやかしだけ、
それでも本当の姿はそうじゃないんだと
女は信じてやまなかった。
そのとき大きな音とともに
横から突然の光が女の瞳をくらませた。
そこには一人の男がいた。
その人は女に手を差し伸べた。
彼なら暗闇の外へ連れ出してくれる。
女はそう思った。
女は前のあやかしを振り返り見ることなく
彼の手をとった。
暗闇の外の世界は暖かく女を包み込んだ。
あのあやかしのことを思うと、憎悪すらわいた。
彼は、女にはとても眩しかった。
自分の汚さに何度も嫌悪した。
それでも彼は女のことを離そうとしなかった。
そして彼らは、一緒にひとつの道を歩き出した。
しばらくして
女は空を飛んでみることを選んだ。
彼の手を一度離して彼のように輝くために。
女は高く高く飛んだ。
地上では見れないものもたくさん見た。
前へ前へ貪欲に進んだ。
そして地上に降り立った時、
女は気付いた。
彼がはるか後ろにいることに。
彼は、今の女をもう見ていなかった。
彼は、彼といたころの女の幻影と一緒に
立ち止ったままだった。
女がどんなに呼びかけても
彼は前にいる女に気づいてはくれなかった。
女はそんな彼ともう再び
共に歩くことはできないのだと悟った。
女は泣かずにはいられなかった。
でも前を見て、女は少しずつ進み始めた。
彼を残したまま。
そして女は決めた。
誰よりも輝く月になろうと。
どんなに鈍い光でもいい、
表も裏もきれいなまあるい月に。
涙をぬぐいきった女は、
新しい道を探すために今の道をそれた。
きっと、また道が見つかる、
そう信じて。



