声優の岸野幸正さんと、大倉正章さんは、「劇団岸野組」の俳優さんでもあります。
岸野組は、岸野幸正さんが主宰で、岸野さんは、野沢那智さんの薔薇座に在籍していたのですが、薔薇座が解散した後、戸田恵子さんらと、岸野組を立ち上げ、現在に至っています。
旗揚げ当初に在籍していた松本さんという俳優さんは、何と、サラリーマンとの二足のわらじを履いてらして、うちの主人の勤め先の取引会社の部長さんだったそうです。
それで、「芝居が好きなら観に来ないか?」と誘われて、出ている人達の大半が声優さんだと知らずに、旗揚げの頃から観ていたそうです。
なので、結婚前に、芝居に誘われた時、出ている俳優さんが、リンツの小杉十郎太さんだったり、パトリチェフの塩屋浩三さんだったりして、私は、感激のあまりクラクラしました。
主人に話したら、「え、声優さんなの?俺は普通に役者さんとして観てた」との事で、邪心がない分、純粋に舞台を楽しんでいたようです。
大倉正章さんは、岸野組の旗揚げからの古参メンバーです。
岸野さんは青二プロ所属、大倉さんは81プロデュース所属です。
・・・ある時、岸野組では、ファンを招いて打ち上げをする企画がありました。
誰もかれもが行ける訳ではなく、若干名募集との事で、私は申し込んで、無事に打ち上げに参加させて頂きました。
私の席は・・・岸野さんの隣で、真向かいの大倉さんと言う・・・凄い席。
この日、本多劇場で舞台があったのですが、新宿で友人に会い、貸していた銀河英雄伝説のDVD-BOXを返してもらい、それを抱えて打ち上げ会場に。
「凄い荷物だね~」って大倉さんに言われて、「銀河英雄伝説のDVDなんです~」と言ったら、「うわ・・・懐かしい!!俺出てんだよね~・・・」って。
「『帝国の残照』に出てますよね。貴族のお兄さんの役とか色々・・・」と言ったら、「え、分かったの!?名前がない役なのに!」って。
クレジットに名前があったので、もう1度見直して、「これが大倉さんだ!」と分かっていたワタシ。
そして、銀河英雄伝説に出たいきさつをお聞きしたのでした。
他のアニメの仕事で行った先で、音響監督の明田川さんに会ったそうで、その時に、「これから始まるアニメで、銀河英雄伝説ってのがあるんだけど、凄いベテラン揃いだから、名前の付いている役はあげられないけど、勉強の為に出てみないか?」とお声かけされたのだとか。
聞けば、凄い声優陣だったので、二つ返事でOKして、沢山出させてもらったそうです。
「貴族1とか、兵士1とか、そんなのばっかりだったけど、今考えたら、出られてのは奇跡みたいなもんだね」との事でした。
岸野さんも、救国軍事会議に同調した、第11艦隊のストークス(このキャラはオリジナル)の役でご出演で、他にも、リップシュタット戦役でブラウンシュバイク公に付いて行った貴族(名前がない)を演じてました。
岸野さん曰く、声優と言っても、俳優が主である為、感情が入れば入るほど、口パクに合わなくなるらしく、でも、そこを合わせるのがプロだっておっしゃってました。
若手の声優さんの中には、養成所だけで勉強して、口パクに合わせるのは上手いのだけど、舞台経験の無い人だと、教えられた範囲の中でしか芝居が出来ず、潰しが利かないとの事。
舞台経験があると、真剣勝負になるので、NGも少なくなるって・・・アフレコの時。(今は簡単に撮り直しがきくから、考えの甘い人が沢山いるのだとか)
それで、たまたまその時、岸野組が上演していた芝居が、リストラ関係の現代劇で、ある劇団の舞台にちょっと似ていたので、岸野さんに話をしてみました。
そしたら、「あぁ、劇団◎◎◎ね。その劇団の芝居・・・俺観に行ったんだよな~」って。
「実はですね・・・その劇団のお芝居に私出ていたんですよ。ボランティアのエキストラだったんですけど、エキストラは2チームあって、私はBチームだったんです」
「え?? ホントに?いつの??」
岸野さんは手帳を出されて確認し、「俺が観たのは28日のヤツ」って。
「あ~・・・それ、私出てました・・・」
「つーか、君女優だったの!?」って。
驚く岸野さん・・・。
女優ではなく、劇団の内部の人を通じてボランティアで出たんです、東京芸術劇場の中ホールと、赤坂ACTシアターの舞台に。
演劇経験は皆無・・・幼稚園のお遊戯会以来だという私を舞台に引っ張り出した人に拍手を送りたい。
「・・・ところで、何の役だったの?」
そう聞かれて、内容を話したところ・・・。
「あ・・・そのシーン、俺、笑ったわ。アレ、セリフはないけど、動きだけで笑いを取らなきゃいけない役でしょ。結構難しいよね」
「はい。会場から笑い声が起きてホッとしました。「普段やっている事を舞台でやって」って演出家に言われて、改めて、普段どうしているんだっけ??って、考えてしまいました。無意識にやっている事なので、改めて言われて戸惑って・・・スーパーに行って練習したりしました」
私がそう答えると、「それでいいんだよ。再確認する事も勉強」って。
「でも、普通って難しいでしょ、意外と」って。
あの舞台・・・今考えても凄かったと思います。
何しろ、東京芸術劇場中ホールも赤坂ACTも大きいですから・・・1200人は入るところなので。
宝塚歌劇でも使っていたところですから、そこで演技するなんて、奮えましたね~・・・。
それに、岸野さんが来た日ではありませんが、別のシーンでハプニングがありました。
暗転明けで、セリフを言わなければいけない役者のBさんが、出とちって、板にいなかった事がありました。
暗転明けてすぐにBさんと会話しなくてはいけないHさんは、相当困ったのでしょう。
近くを通過した(エキストラなので歩くだけ)私に・・・セリフを振って来たんです。
え、私に言えと!!?
キャー!って思ったけど、腹を括りましたよ。
とにかくこの場を切り抜けねば!!!
そのシーンの台本はちゃんと読み込んでいたので、私はBさんのセリフを言いましたですよ・・・。
これ、Hさん、Bさん、Hさん、Bさん、Hさん、Bさん・・・と、Bさんのセリフだけで3つもあって。
因みに、Bさんのシーンはここだけだったんですが、私がやる事になるとは・・・。
その瞬間にスポットライトは当たるし、目眩がしました・・・。
下手にハケる予定が、上手にハケる事になり、ホリゾント(ステージの真後ろ)を大急ぎで駆け抜けて、別の服に着替えて、違う人物としてまた歩く・・・をやりました。
その時、演出家が客席で見ていて、「あ、Bさんがいない!!あ、あの子、Bさんのセリフを言っている!助かった・・・」と思ったそうで、終演後、「セリフ覚えていたんだ」って言われました。
舞台経験はありませんが、「この人がこのセリフを言う時は私はステージ中央にいる」とか、「この人のセリフで下手に移動」とか、赤ペンで台本に書き込んでいました。
自分の立ち位置を決めて、それに沿って動いていたので、そのシーンのセリフを全部覚えていたのでした・・・他の人のも。
岸野さんにその話をしたら、「なるほど・・・それって大事な事だよ。それと、君って意外と度胸がある方?」って言われました。
そうなのかもしれません。
先日、ひょんな事からテレビに出ましたが、緊張してカチカチの主人に比べて、私は緊張したようには見えなかったらしいです。(緊張していたんだけど)
「え、本当に緊張しているの?とてもそうは見えないけど」とディレクターと、その時、レポーターとして我が家に来ていた原口あきまささんに、私はツッコミ入れられてしまいました・・・。
