前回までのあらすじ・・・高校生のすみれが家出をしふらっと入った割烹でだめもとで仕事をさせてほしいとお願いし、雇ってもらえることに、しかし朝からそうじ調理場の手伝い、事務所の雑用、夜はスナックの手伝いと毎日大忙し。沢山の出会いや出来事と共に充実感を覚える。だが、ある日たまたま手伝いに行った屋台の仕事で親の姿を見つけ、複雑な心境で物陰に隠れる。

その日の夜、電話とどのくらいの時間にらめっこしていたのかは覚えていませんが、寒さと痺れで足の感覚がなかったのは覚えています。
家に電話しようか、どうしようか・・・2回ほど受話器を持ち上げましたがやはり
最後までダイヤルを回す勇気はなくそのまま部屋に戻り屋台のおっちゃんにもらったビールをちびちび飲んでいました。(未成年は飲酒してはいけません)
三日間の屋台のお仕事も終わり通常業務に。。そして、残り一週間。
この頃には自分の仕事にも慣れ緊張感もすっかりなくなり、何よりも毎日人と顔を合わせることが一番の楽しみでした。そこから沢山の事を学び、少しだけ小さい自分の中の世界が広がったような気がして。。そして最後にまたまた女将さんから提案が。「最終日は落ち着かへんやろうし、荷物の片付けもあるやろうから二日前にお休みしたら??」と。これはわたしにとっても非常に有難かったので甘えさせてもらうことにしました。なぜならわたしの戻るべき学校は完全な寮生活。それも山の中とか中途半端な場所ではなく完全に下界とは孤立した山のてっぺん。規則で、お金、携帯電話、食料等は持ち込み禁止になっているので、途中で買い物に行ったりなんて事はありえないのです。だから一学期分(約1ヶ月ちょい)の洗濯洗剤、お風呂道具、化粧水、衣類等のものを用意して宅配で送るのです。それが無理なら学期中に家に手紙を書き送ってもらうしかないのです。もちろん今のこの状況でそんな事は親に頼めません。なので自分で荷物を用意するのに非常にありがたい提案でした。残りん日の仕事は、、、寂しいものでした。毎日、毎日「後7日でここともお別れかー・・・。後6日でここともお別れかー・・・」てな感じで、学校に戻るのは楽しみなのに、ここを離れるのは嫌だ!!と毎日変な葛藤がありました。残り4日という日にはついに仕事でお世話になっていた上の人が連絡先を聞いてきました。「じゃあ手紙書くからな!でも奈良から新幹線乗るまでの途中やねんから休みのたびに遊びによったらいいねん。」とか、、、みんな笑いながら口々に言いますが、、私は涙をこらえて笑顔を合わせるのに必死です。お別れとはこんなに辛いものなのか、、と心の底から思ったのもまた、すみれの初めての体験でした。だって家族以外の人間に無銭でこんなにお世話になったのが初めてだったから。


つづく


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