この日の帰りが遅くなったワケ。


仕事を終え社員口を出た社員用駐車場で、鳴いてた仔猫ちゃんを発見してしまった。

るぅちゃんと同じ毛色、立ち耳。

明らかにお腹を空かせてる声。

思わず猫用フードを買いに走った。
野良猫にエサを与えてはいけない、というのはわかってる。
でも何もせずにはいられなかった。

売り場には仔猫用フードはパウチか缶詰しかなく…パウチだとお皿が必要。
缶詰は直接与えて誤って口を切ってしまったら、と選択肢から外した。
仕方なく成猫用プラスチックカップの金のだし購入。
今思えば総合栄養食なのか確認してない。
だけど安全に衛生的に与えるにはコレしか売ってなかった。
仔猫用の高カロリー食を与えたかったのに。

急いで駐車場に戻ったら仔猫の姿はなく。

しばらく探すとお客様用駐輪場でチャリに座ってスマホを触る高校生男子の近くにいた。
彼が猫に関心を持っていた訳ではない。
ただ仔猫は彼の近くに佇んでいた。
私が近寄ると、さっきは素早く逃げた仔猫だったのに近付いてきてくれた。

早速フードを与えようとしたものの、私はココの従業員。
従業員が野良猫にエサを与えてた…なんて苦情が来てしまうかも、と頭をよぎった。
躊躇してしまい夫にLINEした。


だよな…だからってこのまま帰る?

しばらく仔猫の前に座り考えた。
帰ることはできず夫に電話した。

夫「連れて帰ってどーする?うち満員よ?」
(満員って…たしかに笑い泣き笑)
私「後のことは帰ってから考える、保護して明日病院に連れてって検査してもらう。
こんな車の多いとこ、轢かれてしまうよ」
夫「うーーーん、わかった。隔離用のケージだけ準備しとくから」と。

決めた、連れて帰る。
でも手元にはフード1個しかない。

思い切って、その高校生の彼に声を掛けた。
「少し時間あるかな?」と。
当然、見知らぬ私に戸惑い口籠る男の子。
「5分だけでいいから…お店から段ボール用意してくるから。
その間に猫が車の方に行かないか、それだけ見ててほしい。
もし猫が移動したら、どっちの方に行ったか教えてほしい」と。
それくらいなら…と引き受けてくれた。

急いで段ボール用意して戻ってきた。
仔猫と男の子は同じ場所にいた。

やっとフードを開封して置いてみた。
すぐ食べにきてくれた仔猫。
だけど口に含むと私たちからは離れた場所に戻って食べる、を繰り返し距離は縮まらず。
私たち、というのは私と高校生男子。
段ボールを取りに行ってる間だけでなく、フードを与える間ずっといてくれた。
「食べてる時に後ろから首元を持つようコソッとと近付いてみます」って。

だけど野良猫さすがに素早い…家猫るぅちゃんとはケタ違い💧

このままではフードも空になる。

「ねぇ、私DAISOで虫取り網ないか探してきてもいい?」
「なるほど、わかりました僕が見ときます」と快諾してくれた。
季節的に虫取り網はなく、代わりに洗濯物を入れておくような四角いメッシュ籠を購入。
会計時、レジ近くにあった4個で100円のブラックサンダーも慌てて足した。
金のだしカップも買い足して戻った。

同じ場所にいただけでホッとした。

それからは籠に誘導するようにフードを小分けしてみた。
レジから貰ってきたデザート用スプーンを使い先に空になったカップとフード2個の蓋を
お皿代わりに使って導線を作った。
上手くいきそうな度に、通行人に警戒した仔猫は隠れてしまってリセット。
最終的には社員用駐車場に戻り、出てこなくなってしまった。
既にカップ1個半は食べているので空腹を頼りに誘き寄せるのも難しくなってしまった。

最後の通行人が来た時、私も男の子も一瞬の隙に仔猫の行方がわからなくなって。
私と同じように跪いて必死に仔猫を探してくれた男の子。

もう1時間近くが経っていた。

5分だけ、とお願いしたのは私なのに。
途中に何度か「ありがとう…後は気にしないで帰ってね、もう暗いし」声を掛けたけれど
ずっと付き合ってくれた見知らぬ男の子。

これは私から終わりを決めなきゃ彼は帰られない、と思った。
「本当にありがとう、君のおかげで私ひとりじゃなくて心強かったよ。
こんな時間まで巻き込んでごめんね。
これ、さっきのDAISOで買ってきたモノで悪いんだけど良かったら」
とブラックサンダー4個を渡したら、遠慮しながらも受け取ってくれた。
その場で1個すぐに食べてくれた。

そうだよね、もう夜ごはん時。
男の子もお腹を空かせてたよね。


彼も提案してくれたように、残りのフードは置いて帰った。


結局、仔猫の姿見を見失ってしまった。
連れて帰ることはできなかった。




帰ると夫が用意してくれてたらしい、隔離用のケージがコレ💧笑
メイちゃんのケージにワンコ用シートが敷き詰められてた。
〝ゆらころん〟はワンコ用の目隠しね?
だけどさ、るぅちゃんトイレの真下って💦

昔るぅちゃんが使ってた二階建てケージじゃないんかーーーい笑い泣き

だけど、ありがとう。



11月16日夜現在。

昨日は休みでしたが仔猫が気になり、店に行ってみたけれど姿は見えず。
金のだしは一般食だった。
ちゃんと総合食を与えたかった。
でもとりあえず仔猫のお腹を満たせたはずだからヨシとしよう。

今日は出勤、また姿は確認できなかった。
休憩時間も外を探した。
誰からも仔猫の話をきかない。

夜の寒さで凍えてないだろうか……

何かの度に仔猫を思い出し、心が重くなる。



私が野良猫の1匹を救えたところで、大きな分母の1でしかないのはわかってる。

だけど小さな命に対して卑劣な人間がいることも、知りたくないけれど現実いる。
野良犬は減ったけれど、更に力の弱い猫を狙うカス人間は現実いる。

心が曲がれる。

私の父は大の猫嫌いで虐待まがいの事をやるような人だった。
幼かった私は後で知ったことが多かった。
私が可愛がってた愛猫にでさえ、母が止めなければ手を出そうとしてた。
ココには書けないことだってある。

だから父の前では絶対にるぅちゃんの名前を口にしないし、話題にも出さない。
どんなにダッフィーが可愛い、と言われてもるぅちゃんのことは猫畜生と言われそうで…
そんな事を言われたら私は絶対に平常心ではいられない。

そんな諸々から、私は「猫が嫌い」と公言する人に対しては自然と壁を作ってしまう。


話が逸れてしまった。


前にも触れたように、私のこれからの人生は
るぅちゃん&4ころの余生を共に全うしたら
その後は猫の保護活動のボランティアをしたいと考えています。
犬の保護活動となると怖そうなワンコ相手には私は無力だな、と思うから。
とにかく動物に携わっていたい。

それが私の今の夢です流れ星



高校生の男の子、見知らぬ私に力を貸してくれて本当にありがとう。
仔猫は保護できなかったけれど君の優しさは頼もしくて、心が温まったよ。
また会えたらいいな。
君のこれから無限に広がる将来が幸多くありますように、私は祈っているよ。