如月優衣さんの出演する舞台「Sakura」を観てきました。
●概要●
公演名:劇団YAMINABE第7回公演「Sakura」
日程:2019年6月25日(火)~6月30日(日) 全10公演
場所:アトリエファンファーレ東新宿(東京都新宿区大久保1-3-15)
料金:前売3,500円 当日4,000円
脚本・演出:白石将悟
キャスト:
如月優衣/音野暁/網代将悟/金沢藍/宮崎真緒/梶田翔子/小川友暉/谷口慎吾/宮本絵利佳/今橋かつよ/白石将悟
※敬称略
●登場人物とストーリー●
(1)登場人物
・広瀬遙希[如月優衣]
父親と祖母の3人で住んでいる。家族思いの優しい娘。一度決めたことは曲げない芯の強さをもっている。
・広瀬周平[音野暁]
遙希の父親。ダサくてモテないが、誰よりも娘のことを大事に思うパパである。
・鎌田健介[網代将悟]
出会い系サイト“Love Partner”の社長。頭のキレる経営者。売上のためなら何でもする悪人。
・浜本美奈[金沢藍]
出会い系サイト“Love Partner”の社員。この仕事に不満をもっている。
・今宮歩美[宮崎真緒]
周平の会社の同僚で近所に住んでおり、よく出入りをしている。おせっかいな性格で、思い込んだら突き進んでいく。
・ユカ[梶田翔子]
鎌田に好意を寄せ、何でも言うことを聞く存在。自分に自信がなく、誰かの役に立ちたいと常に思っている。本当の名前は"みずき"。
・木村和巳[小川友暉]
遙希の幼なじみ。父親を亡くしている。遙希の尻に敷かれがちである。
・中野託麻[谷口慎吾]
出会い系サイト“Love Partner”の社員。社長の後を金魚のフンのようについて回っている。
・山口まひる[宮本絵利佳]
出会い系サイト“Love Partner”で働き始めた新米アルバイト。実は違う一面も持っている。
・広瀬佳子[今橋かつよ]
遙希の祖母。胃に腫瘍をかかえているが、本人は入院を拒否している。
・新村竹之信[白石将悟]
“Love Partner”とは異なる別の出会い系サイトを運営している。
(2)ストーリー
意気揚々とデートに出かけていく周平の跡をつけてみると、
そこには待ち合わせ相手に会えずに振り回されている周平の姿があった。
周平は出会い系サイトにはまり、まんまと騙されていたのだ。
これを知った娘の遙希は、周平の目を覚まさせようと、またサイトに返金を求めて奮闘し始める。
執拗に会いたいと迫る周平(遙希)に対し、Love Partnerはユカという女性を送り込み、一度だけ周平と会わせる。
この事実を盾にとり、詐欺ではないと主張。返金を求める遙希の戦いは、思いを果たせぬまま終わってしまう。
しかし鎌田の汚いやり方に、社員の浜本が反発。
ユカも、周平らの暖かさに触れ、返金する社長に迫る。
最終的にお金は周平のもとに渡され、ユカは広瀬家の一員となった。
実は他社から送り込まれたスパイのまひるによって、鎌田が顧客データをすべて奪われた所で物語は幕を閉じた。
●感想●
素敵なお話でした!人の優しさ暖かさにジーンと胸が熱くなりました。
そして、ゆいぽんが遂に主演!!!嬉しすぎます!!!!!
主演のゆいぽんは、広瀬遙希という人間がもつ魅力(かわいさ・真っ直ぐさ・優しさ)をこれでもかと言わんばかりに引き出していました!
①かわいさ
ゆいぽんといえばやっぱりこれ!
冒頭で周平(パパ)のデート服を選んであげるシーン、
「グレーのポロシャツにチノパンとか絶対ない」と周平を全否定するセリフは何か小憎らしい。選んであげたオレンジのポロシャツをおばあちゃんに良いと言ってもらえたときの誇らしげな表情に、思わずこちらまでニッコリしてしまう。
周平のデート相手がどんな人か気になって尾行するシーンはとてつもな楽しそうで、パパのことが大好きなんだろうなというのが凄く伝わってくる。
ユカが家に来てくれたとき、ユカと対面して話すゆいぽんもとても楽しそう。その人懐っこい感じが可愛らしくて、パパの恋人として来てくれたことが本当に嬉しいんだろうなということが伝わってくる。
遥希という女の子の、年ごろの娘の可愛らしさを存分に作り出す演技はさすがでした!
シーンは変わりますが、ユカから送られてきたメールを読むシーンでは声色を変えた演技を披露。かわいらしい声色と怒りの混じった地の声がコロコロ変わり、見応え満点でした。
②強さ・真っ直ぐさ
遙希はかわいらしい女の子でありながら、芯が強くてとても頼もしい女の子でもあります。
周平が出会い系サイトにはまっており、架空のデート相手に振り回されたことを見てしまった遥希は、失意のまま家に帰ります。
家に帰ってきた周平に対して、(やや誤解等もありながら、)出会い系サイトのことを問い詰めます。
「そりゃ言えないよね!!」
「いくら使ったの?!」
「2万“しか”とか、パパヤバいよ!!」
迫力満天でした。
白黒はっきりつけるため、遥希はユカとのやりとりをさせてほしいと周平に頼みます。
渋る周平、、すると遥希がものスゴい剣幕で周平を見つめます(睨みます)。
「・・・・・・どうぞ、、」
何も言えず携帯を差し出す周平なのでありました。
更にその強さは、幼なじみの和巳にも及びます。
どうにかユカと会う約束を取りつけた遥希は、周平に同行します。その話を和巳にもするのですが、和巳はあいにくその時間にバイトがある模様。
すると再び遥希の鋭い眼差し。
「・・・・・・今日バイト休みだったー」
(↑絶対ウソwww)
すると遥希は、
「来れんじゃーん!」
の一言。強いですね。更に追い討ちをかけるように、
「来ーーーてーーーね!!!!!!」
と言い放ち、和巳の携帯を奪いとります。
和巳に見せる強さはここだけではありません。出会い系サイトを訴えるための証拠集めをしているシーンでウダウダ言う和巳に対して、
「じゃあ、やんなくていいよ!」
と一喝。
サイトの人間である浜本に接触したとき、社長は何でもやる人間だから逃げてと諭されても頑として受け入れず、
「戦うって決めたんで」
とその言葉を振り払いました。
遥希はとっても真っ直ぐな女の子なんですよね。曲がったことは大嫌い。もちろんパパのことも大好きで。
時にキツく、時に穏やかに放たれるゆいぽんの言葉や立ち振舞いから、遥希のもつ真っ直ぐさがひしひしと伝わってきました。
③優しさ
そんな芯の強い遥希ですが、とても優しい一面をもった人でもあります。
カフェでユカと待ち合わせするシーン。パパのデートなのになぜか同伴している遥希(実際にはこの後に席をはずします)。
出会い系サイトにはまった周平を否定的に見ていた前のシーンから一転、遥希から発せられた言葉は、
「パパ、、、頑張ってね。」
「もしダメでも、遙希がいるから大丈夫だよ。」
えっ、、いや、、、なんてパパ思いの人なの!!
「パパが信じるなら、私も信じる。」
こんなことが言える親子関係、スゴいですね。
しかもこのセリフはちょっと控え目 はにかんだ感じで、でも丁寧にはっきりとゆいぽんから語られるんです。
この一言で遥希に感情移入してしまうこと間違いなしと思うくらい、遥希の人柄を感じさせるこのセリフの言い方はゆいぽんさすがでした。
もう1シーン、ユカが現れたのを見届けた遥希達は家に帰ります。
周平のデート開始を無事に見届けた和巳と歩美は、周平の家で(←)祝杯(?)をあげます。
2人ともベロンベロンに酔っぱらい、もう大変な状態(笑)
もう飲むのを止めなさいと制止する遥希。すると和巳が一言、
「バイト首になったんだよ。」
酔った勢いでポロッとこぼしてしまったんでしょうね。その言葉を受けた遥希は、
「、、、、、、好きなだけ飲んでいいよ」
と告げて離れます。
このセリフを放つ前の絶妙な間合い、そして変に謝りすぎるわけでもなく(謝ってもどうにもならないし、休むこと決めたのは和巳ですしね)さりげなく放ったこの一言に遥希の優しさ・人間性を凄く感じました。ゆいぽんのセリフの言い方が本当に絶妙で、凄く印象に残っているシーンの1つです。
ユカが家に来てちょっとドタバタした後に、佳子(祖母)が命にかかわる病気であることが明かされます。
そのことを周平と佳子から聞かされた遥希の反応、
「はっ?・・・・・何それ??」
「急にいなくなる方が嫌だよ!!!!!」
もうこのシーンが凄かった。。。ゆいぽんの涙ながらに周平と佳子にぶつかっていくシーンに、女優如月優衣に圧倒されました。
感情を爆発させるゆいぽんの演技は本当に凄いんです。
見ているこちらまで、心をおもいっきり揺さぶられます。
遙希が如何におばあちゃんのことを大好きか、家族のことを思っているかがひしひしと伝わってくるゆいぽんの演技でした。
今回も凄かった、、、、、
こんな風に、主人公である広瀬遙希の魅力を存分に表現していたゆいぽんでしたが、これ以外にもゆいぽんの魅力は随所で光っていました。
★アドリブ力
舞台は、何度も見るとより一層面白い。
突然飛び出すアドリブのセリフでも楽しませてくれました。
ユカが家にやってきたシーン、ユカから好きな食べ物を聞かれ「ハンバーグ!」と答えるシーンがありました。これに「お子ちゃまだね」とユカが返す、終始和やかなシーンです。
最終日にゆいぽんは好きな食べ物を変えてきて、「きゅうり!」と答えます。
・・・・・・・(んっ?????)
好きな食べ物をきゅうりと言われたら、戸惑いますよね。ユカ役の梶田さん、絶対困ってた(笑)
その何とも言えない空気が面白くって、ゆいぽんの遊び心がいいなと思いました。
もう1箇所、ユカが最終的に遙希のママになってからの話。
家族みんなで遙希をデートに送り出すシーンがあります。
遙希はカバンも持たずに出かけようとしてしまう始末(笑)
周平が「カバン忘れてるよ!」と指摘します。
最初のうちは何の変哲もない、和やかなシーンなのですが、ある時からゆいぽんがこんなセリフを言い放ち始めます。
「バック買ってーーーーーー!!」
今までの遙希のキャラと違いすぎ!
でもそんなギャップが面白くて、思わず笑ってしまいました。
回を重ねると、更にアドリブが加わり、
「ヴィトンのバック買ってーーーーーーーーー!!」
遙希ブランド好きだったんかいwww笑いが止まりませんでした。
更に、千穐楽の日にはここに周平も乗っかってきます。
(遙希)「ヴィトンのバック買ってーーーーーーーーー!!」
(周平)「ママお金ちょうだーーーーーーい!!」
2人とも今までとキャラが違いすぎるwwwwww
自分から笑いをとることだってできる、ゆいぽんの発想の面白さと機転の利いたセリフを言えるアドリブ力をとても感じました。
★多彩な衣装
早着替えもお手のもの。今回の衣装は何と5着、その出番の多さや活躍ぶりを物語っています。
・1着目
・2着目
・3着目(黄色のワンピース)
※写真なし
・4着目
・5着目(新ママが選ぶデート服)
今回の観劇を通じて、女優としてのゆいぽんは本当に魅力溢れる人だというのはもちろんですが、“大人なゆいぽん”という一面も感じました。
先に述べた、酔っ払っている和巳に対して言った「好きなだけ飲んでいいよ」というセリフは、あたかも和巳を包み込むかのような暖かさに溢れていました。
さらに、食器を片づけたり、酔っ払いの相手をしたり、酔っ払いが去った後に「まったく、、しょうがないね(笑)」なんて佳子(祖母)と笑い合う様子は、若奥さんのように見えました。
このシーンで佳子から、
「お母さんに似てきたね」
と言われるのですが、まさにその通り。しっかり者で心は優しいお母さんのオーラを、ゆいぽんの演技から感じたのです。
ゆいぽんは20歳です。今までに演じてきた役も、どちらかといえば子どもというか妹のような役が多かったです。
だから、年齢を重ねたゆいぽんが役者として活躍する姿が、リアルにイメージできなかったのも事実。
でも今回の演技を観て、年齢を重ねたゆいぽんは、こんな風に役者としてステップアップしていくのかなというのを、割りとリアルに感じることができました。
これから先もゆいぽんは、女優として活躍していくこと間違いなし。そんなゆいぽんをずっとずっと応援していきたいなーと改めて感じた観劇でした。
初主演を立派に務め上げ、女優としてますます活躍していくであろうゆいぽんがとても楽しみです!