西洋絵画の楽しみ方は人様々だと思うが、歴史と紐づけて見るのが好きという人には必読の本である。ルネッサンスから現代に至る西洋絵画の流儀の変遷は、誰が権力を持っていたかが如実に反映されていることが、どの時代にも当てはまるというのだ。
キリスト教が世の中を支配していた中世の絵は、ローマ時代の写実性を失っていたが、これは平面の図像であり、聖書の場面を象徴的に描写すればよかったという。これを写実的なものとし人間的に描いたのが、ルネッサンスの画家たちだ。
宗教改革がなされてカトリックの権威が落ち絶対王政となると、絵画の世界ではバロック時代を迎えるが、これは王が宮廷画家を抱えて権威を保つ絵を書かせたからだ。そして、ロココ時代は、フランスのポンパドゥール夫人が力を持っていた時代で、女性が好むピンクの色や曲線が多用された。そして、ナポレオンは自分の弱点を隠すために、現実と思わせながら美化した自身を書かせたように、理想的な写実主義である新古典主義の時代となった。
フランス革命で自由・平等を求める声は、絵画にも波及し、ロマン主義がその実現を迫るが、実社会に際に広がるとロマン主義は衰退したという。
そして、写真が登場すると、絵画は「再現」から「表現」に変質する。これが印象派である、この表現方法を巡り、現代アートまで画家たちの苦悩が様々な流派を生んだと言う。
この本は、「入門」であるから、実はもっと専門的な話もあるのだろう。続編があれば読みたいと思う。