こんにちは、うるつや子です🎞🫧

本格的に冬に突入したような気温になりましたね😊


今日は2022年に公開されカンヌ国際映画祭で評価された

是枝裕和監督の【 ベイビーブローカー 】を紹介させていただきます。





実はつや子、是枝監督の作品はこの作品が初になります🥺


是枝監督はいつかソンガンホさんやカンドンウォンさんと一緒に仕事がしたいと思い描いていたそうですが、

『いつかなにか一緒にやれたらいいですね』という、映画祭でみんなが集まると必ずある社交辞令()からこの作品が誕生したそう。


 あらすじ 

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、赤ちゃんポストのある施設で働く児童養護施設出身のドンスには、「ベイビー・ブローカー」という裏稼業があった。ある土砂降りの雨の晩、2人は若い女ソヨンが赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づいて警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく赤ちゃんを連れ出したことを白状する。成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることになるが、サンヒョンとドンスを検挙するため尾行を続けていた刑事のスジンとイは、決定的な証拠をつかもうと彼らの後を追う……



  見どころ①:是枝監督が描く"疑似家族"


是枝作品の大きな特徴といえば

家族の形をテーマにした作品が多いということですよね。


2013年に『 そして父になる 』が公開されてから

"赤ちゃんポスト"をテーマにした作品を撮ることを温めていた是枝監督ですが"ある一人の女性が雨のなか、赤ん坊を捨てに来るというシーン"のイメージがずっとあったそうです!

パラサイトのシーンを彷彿させました )



赤ちゃんポストは実の親が育てられない子どもを病院が預かる仕組みですが、「子捨てを助長する」という批判がたくさん集まりこれまでに161人が預けられたそう。


韓国では2020年までの11年間で日本の10倍の 1939もの赤ちゃんが預けられているんだとか。


そのポストから赤ちゃんを盗んできて子どもをほしがっている親たちに売り渡すのが、今回のタイトルにもなっているベイビー・ブローカーです。


多額の借金を抱え家族と暮らせていないクリーニング店の店主サンヒョン

教会の赤ちゃんポストのバイト職員で自身も母親に捨てられた経験のあるドンス


そして

自分の子供を人殺しの子にしないために赤ちゃんポストを利用した ソヨン


それぞれが家族という言葉に辛い経験やしがらみを抱える中で赤ちゃんの親探しを通して血のつながりのない家族、家族以上にお互いを思い合ってる姿に心が苦しくなりました。



終盤で今回の一番の見どころと言える

ソヨンが 生まれてきてくれて、ありがとう というシーンはソヨン自身が一番言うのが辛かったんではなかったのかなとおもいました。


韓国では、親が子どもを育てられない時の支援が不足していることは長い間、課題だったそう。


ただ韓国に限らずですが、そういった支援がない限り育てたいけど育てられないという悲しいことが起こらないようにもっと話し合うべきではないかなとこの作品を通して感じました。



  見どころ②:対極の母親


この作品では2人の女性にフォーカスがされているんではないかなと思います。


1人目は

ウソン赤ちゃん)の母親であり赤ちゃんポストを利用した ソヨン


2人目は

○ 子どもの人身売買犯を現行犯逮捕しようと網を張っている女性刑事 スジン



ソヨンは自分の子供を人殺しの子にしないために

赤ちゃんポストを利用します。

強がっていましたが本当は一緒に暮らしたかったんだと思います )


しかし、自分の子供を捨てるくらいなら産まなければいい・中絶するべきだとスジンはソヨンに対し作中、嫌悪感を抱いていました。


おそらくスジンは自身のキャリアのため、もしくは赤ちゃんを産めない体になってしまったからこそそう言った赤ちゃんを捨てると言う行為に嫌悪感を抱いていたのだと思います。



しかし、終盤でソヨンが「中絶で赤ん坊を殺すこと、赤ん坊を捨てること、どっちの罪が重いの!?」という質問にスジンは答えることが出来ませんでした。



このシーンをきっかけにスジンはソヨンを許し

捕まってしまったソヨンの代わりにウソンを育てていくことを決めます。



中絶の考え方は社会問題になっていたり

韓国では66年以上にわたって中絶は違法として堕胎罪が存在していました。


今現在では中絶は違憲だとして罪には問われなくなりましたが中には手術を拒む医師も多く問題はまだあるそう。


そう言ったことからそれぞれの事情から赤ちゃんポストを利用せざるを得ない方もいるのではないかと思います。



  見どころ③:想像していなかったラストシーン



この物語のラストシーンでは

サンヒョンが知り合いの暴力団員と消えていくシーンと共に

物語の終盤を迎えます。


赤ちゃんの父親は暴力団員(おそらく組長)でウソンが生まれてくることを拒んだ父親を殺してしまったことによってソヨンは怒り父親を殺してしまいます。


その組長の本妻がこのことに気づき赤ちゃんを奪い取ることを目的にサンヒョンたちの周りに暴力団員を送ります。


サンヒョンは"家族"を守るためにドンスやソヨンを裏切ったふりをして知り合いの暴力団員を殺したと思われます。

赤ちゃんが奪われ本妻に虐待をされてしまうことを防ぐために。


そしてラストシーンは、3年の月日が経ったシーンに移り変わります。

釈放されたあとソヨンはウソンと会うために一生懸命に働いてる姿が描かれています。

そしてウソンに会いに行くシーンではそんな

ソヨンの様子を車の中からサンヒョンと思われる人物が見守っているというラストシーンで本作は幕を閉じます。



自分の家族とは暮らせなかったからこそ

せめてウソンとソヨンには幸せになってほしい。

そう思っていたからこそサンヒョンはこう言った選択をしたのではないかなと思います。



まとめ・感想 


今回この少し触れずらいテーマなので重くシリアスなにいようになるのかなと思ってましたがメッセージは残しながらクスッと笑えるシーンや登場人物たちの人柄の良さから明るい気持ちでも見れたのか正直な感想です。



今の世の中では極端な選択をしてしまう方や赤ちゃんの遺棄事件など悲しいニュースで溢れていますが

この『 生まれてきてくれて、ありがとう 』と言う言葉をみなさんにも伝えたいなと思います。


みなさんも大切な人にこの言葉をプレゼントしてあげてほしいです。


ぜひ一度ベイビーブローカーを見ていただきたいなと思います😊