〜音大生ピアノ街道〜

〜音大生ピアノ街道〜

趣味のことを交えつつ、日記や考え事や疑問をゆらゆら書いていくつもり。
趣味…星のカービィ、ももクロ、西川貴教、クラシック

Amebaでブログを始めよう!

マイフェイバリットシーズン…
                                  ……それは夏!!


我ながら実に単純にできていると思うが、私は「汗をかく=青春!!」だと体が本能的に感じてしまうタイプで、汗をかいていると「私…青春しているんだわ!」と、とても爽やかでポジティブな気持ちになれる。(この辺の中高生的思考回路は私が青春に飢えていることも原因な気がする)


そして同時に、気温にしろ体温にしろ熱量が高まるほど体から湧き上がるエネルギーもぎゅんぎゅん増える。
よって、私はザ・夏大好き人間!を長年名乗っているワケだが、じゃあ対して冬は嫌いかというと全くもってその通り、大のつくほど苦手な季節である。


なんて言ったって寒い。2月にぴゅーっと吹く風なんて寒いだの冷たいとかじゃなくてもう痛い。
もちろんこの寒さがあるからこそ学校帰りにほおばるローソンの肉まんはこの世で1番おいしいし、寒い寒いといいながらみんなで鍋に具を放り込む瞬間はこの世で1番幸せを感じる瞬間、だとは思うのだけれども。


だけどそもそもの私の体が、低気温になるにつれ骨の芯から活動のストライキを起こすため、私はいつも人間も早く冬眠できるようにならないかなぁと考えている。


そんな私なので、「好きな季節はいつ?」談義が始まればいつも嫌いな季節の票を集めがちな夏という季節がいかに素晴らしいかを拳を握りしめて熱く語っている。(そして冷たい視線を集める)


そして先日。
その時は季節の変わり目ということもあり、友達2人と好きな季節談義が行われていた。


もちろん当然のごとく、私はいつものように夏への愛を語っていたのだが、珍しくその時一緒にいた友達(その1)も夏がお好きだったようで、老後は沖縄で冬の寒さに怯えることなく平和に暮らすのが自分の夢だと語ってくれた。
当然全面的に賛成した私は(その1)の手を握りしめ、2人で沖縄に移住したらやってみたい事について話に花を咲かせていた。


そんな私たちを友達(その2)は何も言わず優しくただ静かに見守っていたので、もしかして(その2)も夏が好きなの?と聞いたのだが、いいやと彼は首を振り、自分が好きなのは冬だと言った。


寒さを極度に嫌う私はまずその気温の低さに根をあげてしまうため、冬が好きということはある程度寒いのが平気なのかと聞くと、そんな事はない、寒いのは自分も苦手だと言う。


なるほど、ならばクリスマスやバレンタインなどキラキラしたイベントがたくさんあるからでしょうと言うと、断じてそんなチャラついた理由ではないという。(悪かったな)


それなら一体どこを気に入って冬が好きなのかと彼を問い詰めると、彼は私が今まで誰からも聞いたことがないような理由を告げてきたのだ。


だってあの冬の冷たさこそが、俺たちの心を敏感にさせてくれるだろ。


初めて聞くその理由に一瞬ぽかんとした。
苦手な意識が先行するあまり、私はそんな方向から、そんな風に寒さと向き合った事がなかったのだ。


ぽかんとしているのを見た彼は、自分が言いたい事が伝わっていないと判断したのか、さらに細かく私たちに説明してくれた。


暑さからくる苦しさは体温を上げないために自分の身体をだらけさせるけど、寒さの厳しさは身を引き締まらせて、心を研ぎ澄ませてくれる。
それに、「あたたかさ」を感じることができるのは寒い時だけだ。寒くて辛いからこそ、他人の心の温度が自分を温めてくれるのを感じることができる。


俺たちは常に、そういうのを感じることのできる人間であるべきだと思う。
人の心のあたたかさとか、研ぎ澄まされた心でしか知覚できない感情とか、そういうのをさ!



…私と友達その1は、まぁそれでも、やっぱり年中Tシャツと短パンに裸足で過ごせたら幸せだよね、開放感を感じられるのは夏の特権だよね!と言い合いながら、「じゃっ俺今からヴァイオリンの演奏会だから。風邪引くなよ」と言って去っていった彼の後ろ姿に自分達でもよく分からない謎の敗北感を味あわされていた。









「寒いね」と
話しかければ「寒いね」と
答える人の
いるあたたかさ


その日の帰り道、俵万智さんの「サラダ記念日」に収録されていたこの一首をひたすら頭の中でエンドレス再生していた。


少しずつ冬の冷たさがにじんできた風を、眉間にシワを寄せつつ肌に受けながら、それでもこの風を少し好きになれるかもしれないな、という予感が、カサついた落ち葉と一緒に私の頭をかすめていった。