役に立たない言葉たち -9ページ目




春の風は


しょうしょう荒っぽい

フーガのようで


その厳密な成分は


ちょっとずつ

顔つきや

体つきの

異なった少年たちで


たくさんの

ちっぽけな少年たちが

花びらをむしったり

枝をゆすったり


やっとこさ

這い出した

なんだかよくわからない虫を

ひっくりかえしたり



通奏低音は

ピュイピュイ鳴く

フルートだかリコーダーなんだか


仲間に入れて欲しくて

ピュイピュイ

へたくそな口笛を吹いてみる


「そんなにフーガを吹きたいのかい?」

とからかい舞う少年の顔は


きっとどこかで見たことのある

けどゼッタイ思い出せない


夢の中の自分の顔