卵をいっこ飲んだ
にわとりの卵
温泉卵くらいに火が通った
ちょっと生々しいやつ
まだ明るくない夜明け時に
むしょうにおなかがすいたんだよ
むしょうにね
卵は
インスタントラーメンのおつゆの上に
ぽかんと浮かんでた
ぽかんと
そう、ぽかんと
ぼくはその生々しいやつをくずさないように
しんちょうに
しんちょうに
麺と汁だけを
じょうずに
じょうずに
それから
そいつをぞろりとひとくちで
命を丸ごと飲むように
残虐なテロリストよりも無造作に
どっかの大将軍様より無慈悲に
にわとりの仮想の一生を
哲学も生きる意味を想う暇もなく
ぞろりと
アイツは
ぼくの胃液と戦いながら
ぼくの胃液ととろけあいながら
なにを想うのかな
かなしいのかな
それともなにも想わないのかな
とっくの昔に死んでるのにね