白州の民話 姫塚(ひめづか) 白須上集落
『白州の民話伝説 第2集』白州町教育委員会編 一部加筆
白須若宮八幡神社の脇に、姫塚と呼ぶ所があります。ある夜、わが家の先々代の祖母の枕元に、気高そうな老人があらわれ
「姫塚の一角に、尊い仏像が埋められている。他人はもちろん、長袖(坊さん)に知らせてはなりませんぞ」
と、固く念を押すとスッと消えてしまいました。
これは夢とも、うつつ(現)とも判別しがたい様であったと言います。祖母は翌朝姫塚へ行き、土を掘り起しますと、中から銅製の小仏が現れました。祖母は思わず声をあげて
「あ、仏さんだ。もったいない」
と、思わず合掌し、やがて拾い上げ、だいじにわが家へ持ち返り、洗い清めて、仏壇に安置し、朝夕懇ろに供養を続け、子孫もまたこれを受け継ぎました。
正夢
ということがありますが、その通りで、小仏は五、六センチのもので、誰が埋めたか今もってわかりません。こんな因縁
の仏さんがあるでしょうか。
姫塚は現在、他人の所有になっていますが、何処の誰の御姫様かも知る由もなく、その上には杉の古木の杉が(標識には、子持ち杉・神杉とある)が立ち、その根元には釜無川の小石が敷き詰めてあります。これより少し離れた所に、「姫塚の碑」があります。一説には武田討伐のために甲斐を攻めた織田信長のお姫さまではないかとも言われています。この話には後日談があり、白須に隣接する前沢集落の地に姫塚と呼ばれる場所があって、その塚を畑にしたところ、その場所には何も育たなかったという話もあり、その塚から出土した馬鈴や金銀などは、一度は白須八幡神社に奉納されましたが、その後行方不明になったとのことです。
(元話 山田義則)
【註】
古木の杉は、この神社一帯にある桧や杉の類と思われる。この古木の横には、樹齢3百年を超える大杉があったが、落雷を受け枯れてしまった。また神社境内には5百年ともいわれるモミの木があり、こちらは数度の落雷に耐えていまで樹勢は旺盛です。