大切な患者さんが、またひとり旅立ってしまった。
41年間という短い生涯の最期で、
彼は一体何を思ったのだろう。
いい人生だったと思えたのだろうか?
それだけが気がかりで仕方ない。
やってもあまり効果が望めないと説明されても
辛い治療を選択し続けた彼は、
強い人だったと思う。
自分の思いや、感情をあまり出さない人だったけど
イライラしたり落ち込んでるのは誰が見てもわかった。
そんな彼に私がしてあげられたことは
ただバカみたいに明るく振る舞うことだけだった。
まさかこんなに急にお別れが来るなんて
たぶんお互いに思わなかったから、
最後に交わした会話は本当に他愛もないことだった。
熱が出てしんどいと言いながらも、
夜勤の私に労いの言葉をかけてくれて
ひとつ、お菓子をくれた。
それが彼の姿を最後に見た時になってしまった。
とうとう彼の本心は最期まで聞くことができなかった。
関わりの深かった患者さんが亡くなるたびに
自分の無力さを痛感する。
もっと何かしてあげられなかったか?
もっと力になってあげられなかったか?
治してあげられないけど
もうちょっと癒してはあげられたんじゃないか?って。
突然の旅立ちが信じられず、
まだ病室に彼がいる気がしてならないけれど
やっと辛いことから解放された彼の、冥福を祈ろう。
そして私は彼から教わったことを忘れず
前を向いて働こうと思う。