タイトルに惹かれて読んでみました。
今の世の中は
「不要なものを捨ててスッキリ暮らすのが良い」
という考えが主流のようですが、
著者の五木寛之さんは
「モノは記憶を呼び覚ます装置である」とし、
そうした思い出や愛着のあるものに囲まれて暮らすのも
豊かなことではないでしょうか、という風に書かれています。
私が断捨離で色々なものを捨ててしまって後悔した理由が
「後に必要になったモノを捨ててしまった」ことだけではなく
「モノに付随する思い出を捨ててしまった」ことにあったのだと
この本を読んで気付きました。
思い出や記憶にコミットするための入り口をなくしてしまった。
だからさみしくて心が辛かったのだな、と思いました。
世の中には色んなタイプの人がいて、
モノはモノ、それ以上でも以下でもない、
と考える人もいらっしゃると思います。
しかし私は煩悩にまみれ、執着も強く(笑)
さらにはモノを単なるモノと考えることができず、
縁あって同じ家にいる仲間だと思ってしまう
変な人間なのです。
そんな変な理由でモノ捨てることができない自分に
「それでも良いんだよ」と言ってもらえたような
優しい安心感のある本でした。
またこの本は個人の持ち物についてだけにとどまらず
失われていく町の景観や地名などにも言及していて、
こうした多様な歴史の記憶を捨てずに残していくことで、
画一的でフラットで薄っぺらな町ではなく、
厚みや奥行きのある町になっていくのではないかとも書かれています。
私個人としては歴史的に価値があるものではなくても
おばあちゃんの家のような古いお家、アパート、ビルなどにも
なぜかしら心惹かれてほっこりします。
空き家問題など何かと難しい問題もありますが
できる限り古い建物が活かされ
深みと味わいのある町が
日本各地に育っていけば素敵だなぁと思います。
