98日から14日まで一週間に渡り開催された大阪クラシック。ホールやビルのロビーやカフェやホテルなどを会場に、ほとんどの公演が無料もしくは安価で、大阪フィル始め在阪各楽団奏者によるアンサンブルや合唱や時には管弦楽など、110公演前後が会期中実施されていた。

私は910日に大阪証券取引所ビルのアトリウムで、大阪フィルハーモニー交響楽団の奏者によるシューマン作曲の弦楽四重奏曲第3番の演奏を聴いた。用意された椅子は満席どころか、その後ろ、さらには2階や3階にまで幾重もの立見客が連なる盛況。仕事帰りの方や普段コンサートに来るのが難しそうな幼児を連れたお母さんなど、さまざまな方々が聴き入っていた。決して音楽を聴くに適したとは言えない環境。しかし、ヴァイオリン=尾張拓登氏・田中美奈氏、ヴィオラ=川元靖子氏、チェロ=林口眞也氏により奏でられる音は、アトリウムの空間に馴染み溶け込み心地よく聴衆に降り注ぎ、最後まで人々を惹き付けてやまない演奏に割れんばかりの拍手が起こりこだましていた。終わって汗をしきりに拭う田中氏の姿が熱演ぶりを如実に示していた。

その光景に接し、無料とは言えこんなにも多くの方々が切実なまでに音楽を求めているのだと感じてならなかった。そこで、ならば大阪クラシックに限らず、年間通じてこのような場があってはどうかと思った。大阪クラシックは在阪プロ楽団奏者が主に出演しているが、毎年音楽大学は多くの卒業生を輩出しており、そうした音楽家は優れた実力がありながらも、演奏や発表の場に苦慮する方々が無数にいると聞く。そんな方々にも今回のようにビルや企業などが演奏の場を無償もしくは安価で提供してはどうか。会場を提供する側は文化貢献によりイメージアップにもなり、そこに入る商業施設などの経済効果も期待できる。音楽による素晴らしい効果や影響が波及していくことを願いたい。