おはようございます!!
浦和高等学園の
金子です。
今日は寒いですな・・・
体調管理には十分に気をつけましょう!!
さて
本日は
久しぶりに本の紹介をしたいと思います。
最近出合う本は、運が良いのか、
どれも興味深くものが多く、
ついまとめるのをサボってしまいがちで、
読書をすることばかりしていました・・・
反省です。
私の読書は気になった分や参考になる分に
線を引いたり、そのページの端を折り曲げたりしながら読み進めていきます。
そして、読んだ後、再度、その箇所を読み返し、
PC打ちし保存していきます。
この作業までが私の読書なのです。
前置きが長くなりました・・・
今回は、最近出たばかりの新しい本です。
『セラピスト』 最相葉月 著 新潮社
書店の平積みされているところで出会い、
手にとってパラパラめくってみると、
とても興味深い内容でした。
まず、中井久夫先生という、
大御所の先生がいらっしゃいます。
その先生は「風景構成法」という
表現療法を作り出した精神科医です。
私は風景構成法とは、大学院時代に出会い、
ゼミでも研究し、修士論文の題材にもしました。
今でも、医療現場で、実施することもあり、
非常に興味深く、そして臨床に役立つ療法の一つと思っています。
その中井先生が、なんと被験者となり、
みずから筆記用具を持ち、
風景構成法をお描きになって、
それをご自身で振り返っていらっしゃる。
これは非常に珍しいことです。
私自身、学部生、院生時代に先輩の
被験者となって、知能検査や
ロールシャッハテストなどを受けたことがあります。
しかし、実際に臨床に出ると、
自らが被験者となることはほぼなく、
施行する側、分析する側になります。
(これが仕事ですからね
)
しかしながら、
私も自戒の念もこめてですが、
医療現場では、
ついつい、
人の心を分析するだけに陥ってしまい、
その後の治療や、
具体的な指針などが
欠けてしまうことになりかねない。
要するに、
「この人はこういう傾向があり、このような点に問題がありそうだ」
とか、
「このような点がこれまでの生活に大きな影響を与えてきたものと思われる」
といったことは書ける。
しかし、
その後の、
「だからこのような手立てや、工夫が有効と思われる」
といった部分をきちんと伝えていかなくては、
その検査をとった意味が
半減していると思っています。
だいぶ、話がそれました、
この中井先生とのやり取りはもちろんのこと、
他にも、臨床心理学の世界では
著名な先生方へのインタビューや、
また実際の精神科医療に入り込んだルポのような記述もあり、
あっというまに読んでしまいました。
(この最相葉月という方は他にショートショートで有名な星新一さんについての本も書いてあるようです。まだ私は読んでいませんが面白そうです)
最後に 最相葉月さん
が述べられている印象的な部分をご紹介したいと思います。
P325
人口10万人あたりの精神科医の人数は全国平均で、約10人。
都道府県別では、1位の沖縄県が約18人であるのに対し、東京は約14人で全国13位。
一番少ないのは埼玉県で、8人に満たない。
中略・・・
理由を問わないことが精神科診断の標準であることを知ったのはこの取材を始めてからである。
パソコンと大きなテーブルが医師と患者を隔てており、そもそも患者の話を聞こうというレイアウトになっていない。
もっと直接向き合って話を聞いてほしかったのに、
もしかしたら人生の分かれ目になるかもしれないと覚悟してやってきたのに。
肩を落として診察室を出ると、待合室にずらりと患者が並んでおり、
ああ、これもやむをえないことなのかと思い直す。
これだけの人が苦しんでいるのだから、
自分ひとりがわがままなどいえないと遠慮がちになって、通院を断念したこともあった。
薬を処方されればそれでいい。
医師も患者も一度切りの関係と割り切っている。
自分もいつしかそんな都合のいい患者の一人になっていたのかもしれない。
三分診療をすべて否定するわけではない。
患者によっては、長時間の面接をすることでかえって薬の処方がわからなくなる場合もあるという。
もっと話を聞いてもらいたいと思って
セラピストのもとを訪ねても、内面に深く入っていく
カウンセリングに抵抗を示し、中断してしまう人もいるだろう。
セラピストの熱意がかえって患者の症状を悪化させる可能性もあることは、
第7章でみた通りだ。
人は一人ひとり違う。
病も人もそれぞれである。
ただ、確かに言えるのは、
患者を支えるのはセラピストの存在そのものであり、セラピストもまた、
患者の人生に自らを重ね合わせながら日々変化し続けるということだ。
セラピストが患者にかける言葉は、セラピスト自身に跳ね返る。
患者が必要なとき、有用な診療が行なわれているかどうか。
セラピストが力を尽くしているかどうか。
答えは、患者の顔に書かれている。
それはまぎれもない事実だ。
中井久夫は、不眠に苦しむ外来患者を見送る際、こう声をかけたという。
「今晩眠れなかったら明日おいで。眠れたらせっかくの眠りがもったいないから明後日でもよいけど」
今日もまた、待合室に誰かが座っている。
うつむき加減で静かに呼吸している。
扉の向こうにいる人と治療契約を結べるのか、
それとも、一期一会に終わるのか。
人生の大きな岐路に立たされている。
どうか、
彼らの明日が今日より少しでもよくなるようにと、
祈らずにはいられない。
この引用の中でも、
「患者を支えるのはセラピストの存在そのものであり、セラピストもまた、患者の人生に自らを重ね合わせながら日々変化し続けるということだ。
セラピストが患者にかける言葉は、
セラピスト自身に跳ね返る。
患者が必要なとき、有用な診療が行なわれているかどうか。
セラピストが力を尽くしているかどうか。答えは、患者の顔に書かれている。」
本当にこの通りだと思います。
臨床の場面で、
多くの人が聞くことのない(出来ない、したくない?)話をたくさん聴くのが
私の職業です。
その点、正直、しんどいときもあります。
しかし、話をしてくださる方から、学び、感銘をうけることも少なくないです。
私自身、成長を感じるときもあります。
こんな興味深い仕事はないでしょう。
私は
臨床心理士という職業を誇りに思っています。
これからも、失敗やうまくいかないことも多々あるでしょうが、
今出会っている方々はもちろん、
これからも出会うであろう方々にとって少しでも役立てるような有用な支援ができるよう、
努めて生きます。
では、
今日も長い文章を読んでいただき、
ありがとうございます。
よし、今日も張り切っていきまーす!!!