心の宮殿

心の宮殿

隔絶城

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 邦訳されているキング作品の中では1番新しい「11/22/63」を読了。主人公のジェイク・エピングがケネディ暗殺を阻止すべく、不自由でフェアじゃない時間旅行に打って出る長編小説。過去は強情で変化を拒むので、ジェイクは過去によって様々な妨害を受ける。例えば、天候や人災など。また、過去の強情さは改変したい出来事の大きさ影響力に比例して変化するという。
 
 アルズ・ダイナーを経営する友人のアル・テンプルトンが自分の店の中に過去へ通じる穴を発見したのが始まりだった。アルはその穴の有用性に気づく。その有用性には安くて良質な肉を手に入れれる点だけではなく、穴をくぐり抜けたときの時間にあった。穴を潜り抜けた先は決まって1958年のアメリカなのだ。ケネディ暗殺の5年前。阻止するだけの準備期間はたっぷり。しかしアルは日頃の不健康な生活で先は長くなかった。そこで、ケネディ暗殺について調べ上げたノートをジェイクに渡し、引き継がせた。アルは自殺した。

 (ネタバレはよそうかーい。デリー 賭博 恋人 暗殺 陰謀論 ひっくるめてふせよう)


 とにかく内容が濃い小説。卑猥なシーンもあるけど、それが人間味でーす。ジェイクの使命と恋人セイディー、葛藤。未来人のジェイクは未来人である事実を隠さねばならず、その様子に疑心暗鬼を抱くセイディーとの駆け引きは手に汗をにぎる。秘密を抱えて生きることの辛さがダイレクトで伝わってくる。この小説はケネディ暗殺阻止がメインだが、実は人間関係や文化のギャップを背負って生きる男の格闘も引けを取らないくらい際立っている感じがする。ラストはえぇそんなのありかよ~とかあぁ良かったねぇという感じ。だいぶ大雑把。しかし、本当に。
 
 馴染みのない地理的用語に苦しむことがあるが、すっきりした描写で想像力を存分に働かせながら読める作品でした。