今、おばあちゃんの
病院に行ってた。
昔はうちを叱ってたのに 今は寝たきりで上手く話せない。
そんなばあちゃんは
帰り際に、
「帰りたい」と必死に
言いながら私の
手を握った。
強く強く握った。
その時私は
歯を食い縛るほどの
゙痛み゙を覚えた。
手が離れて私の手を
見ると、くっきりと
爪がくい込んだ後が
あった。
切なくなった。
無性に虚しくなった。
もう、私の手に傷は
ない。
儚くも消えてしまった。
刻まれた 傷の深さだけ
おばあちゃんが強く
願っているとしたら、
無情にも呆気なく
消えてしまう事は
人間の非情を表している ようだと私は思った。
こんなにも
消えてほしくない
傷を負ったのは
生まれて初めてだった。








