浮かれていた私は

気付かないうちに

夫を蔑ろにしていた


そんな私に

ついに夫が爆発した

 

 

 

週末を控えた夜


夫からまた

アウトドアしようと提案


「だからもう

 私にお伺いする必要ないって。
 好きにすればいいでしょ」


いつものように不機嫌になる私

普段なら夫も
私の不機嫌を追求しないで終わるんだけど

この夜の夫は違った

 

 

 

「…いい加減にしろよお前」



普段は聞いたことのない

夫の低く強い声

 

思わぬ夫の反応に動揺した

 


「え… 何よ急に」


上ずった声で夫を見ると

私をまっすぐに見据えている

 


「急にじゃないんだよ。
 なんなんだ最近のお前は」


その言葉に私もイラついて言い返す
 

 

「私は普段、育児に家事で疲れてんのよ。
 休日しか子供の面倒見ないあなたに
 何が分かるのよ」


「…ホントにどうしたんだよ一体。
 なんでそんな風になっちゃったんだよ」

 

 

「なんでって…」

 

 

ここで夫の浮気が頭をよぎり
思わず口にしてしまった


「アンタが浮気なんかしてるからでしょ!」


「は? 浮気?
 いや… 何言ってんのお前?」


「私のいないとこでコソコソやり取りして
 知らないとでも思ってんの?」


「はぁ? お前大丈夫か?」


夫の呆れ顔に私の怒りが増幅する

 

 

「何とぼけてんのよ!
 スマホの暗証番号変えたのが
 何よりの証拠でしょ!」


「え… 暗証番号変えたって…
 お前、変えてないの?」


「は?」


「同じ番号だと片方がハッキングされたら
 もう片方も被害に遭うから
 俺は長女でお前は次女の誕生日にって
 そう決めただろ」

 

 

「あ…」


 そういえばそうだった…
 

 完全に忘れていた…


すると夫は私の前に
自分のスマホを置いた


「そんなに疑うんなら見ればいいだろ。
 長女の誕生日でやってみろ」


自分の落ち度に気付いたけど
それでも

夫の浮気を信じてた私は
 

すぐに夫のスマホを開いて確認した

 

 

だけどそこには何も無かった


「えぇ… そんな…」

「だいたい、なんでそう思ったんだよ」

「だって、あなたはあの夜…」


私が夫の浮気を疑った夜のことを話した


「平日に家事なんかしたこと無いのに…
 そう思ったら…」

 

 

夫は大きなため息をついた


「あの夜のことか…

 よく覚えてるよ。
 

 風呂から出て水分補給に行ったら
 お前が真っ青な顔で
 焦点も合ってないように見えて驚いた。
 

 だからお前を休ませたんだよ」



 あ…

 

 私が原因だったんだ…



「それに、

 普段は平日はしないってのも
 

 そもそもお前が俺に
 平日はしなくていいって言ったんだろ。
 

 それも忘れたのか?」

 

 

完全に自分の勘違いだったことに
愕然としていると

夫が私の前に手を出した


「え…?」


「お前のスマホ。
 俺の見たんだからお前のも見せろ」



完全に固まってしまった

 

 

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