弁護士事務所を訪れてから後は
特に私に連絡は無かった
彼とのやり取りのスクショを渡したぐらいで
それ以外に何も依頼されない
いったい
今どんな状況なんだろう
気にはなったけど
私にできることは無い
とにかく待つしかないんだな…
「そういえば、彼の奥さんから
慰謝料の請求とか来たの?」
「いや、何も無いんだけど…」
「絶望させるなんて言ってたのに
なんで何も言ってこないんだろうねぇ?」
母に言われて気付いた
そうだ、確かに何も来ないって変だな…
もしかして、と思い
弁護士さんに連絡した
「私さん、どうされましたか?」
「あの…
そちらにお尋ねするのも変なんですけど
彼の奥様から何も言ってこないんです。
何かご承知でしょうか?」
「あぁその件でしたら、
先日の契約で私が代理人になりましたので
併せて先方とお話をしています。
本当は利益相反なのでNGですけど(笑)」
「あ、そうだったんですか。
無知ですみません」
「いえいえ、大丈夫です。
先方からの慰謝料請求の件ですが
あちらの不法行為の話と併せて進めてます。
ですから私さんの不貞行為だけについて
話が進むことはありません」
「そうだったんですね、分かりました。
ではご連絡をお待ちしてます」
「では失礼します」
弁護士さんの話を両親に伝えた
「そうだったのね。
じゃぁ完全に待つしかできないわね」
母の言う通り
私には何もできない
せめて謝りたいんだけどな…
許されないのは分かってる
だけど
このままなんて申し訳なさすぎる
ちゃんと謝らせて欲しいな…
もどかしい気持ちのまま
2か月ほど過ぎた頃
弁護士さんから連絡があった
「和解条件が決まりました。
お話ししたいのでお越し願えますか?」
ついに来た
どんな内容なんだろう…
不安な気持ちを抱えつつ
私と両親は指定された日時に
弁護士事務所へ向かった
和解条件はこんな内容だった
・彼を解雇し会社に一切関わらせない
・私の解雇は不当解雇と認め慰謝料を支払う
その際に解雇取消で復職または
雇用主都合解雇による一時金支払いの
いずれかを会社が行う
・彼の奥様の行為は悪意ある行為、および
会社の監督義務不履行を認め
私、夫、息子たちに慰謝料を支払う
・私と彼の不貞行為による
奥様の慰謝料請求権を放棄する
内容を確認して驚いた
「え… これって…」
「はい。
完全勝利ってやつですね。
先方は裁判になるイメージダウンを恐れ
ほぼこちらの主張を受け入れました」
確かに、清潔なイメージのCMしてるのに
次期社長の醜聞とその奥様の奇行、
さらには労働法違反ときたら…
こんな裁判やったらマスコミの餌食だな
弁護士さんに促され和解書にサインした
復職するか確認されたけど
私が過ちを犯したのは事実なので
復職の意思は無いと答え
他の和解に関するお願いを伝えた
私のお願いに弁護士さんは驚いてたけど
対応すると言ってくれた
「あとは…
夫さんとの件だけですね。
ここから私は、夫さんの代理人として
お話しさせていただくことになります。」
「はい…
夫に伝えていただけますか。
許してもらおうなんて考えてない
あなたや息子たちに謝らせてください」
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遅過ぎた後悔 本気で好きだった 身体を許す時 歪んだ猜疑心