朝になり
彼女がそっと覗きに来た

その気配に気づいた私は
空っぽな頭のまま

 

「おはよう。昨夜はありがとう」

 

と声を掛けた

「あぁ… よかった…」

そう言って私に駆け寄り
私を抱きしめてくれた

 

 

私が外出しようとした時
彼女は最悪のことが浮かんだと

 

絶対に外に行かせちゃダメだって思って
必死に止めてくれたそうだ


それでも心配だったから

 

何度も何度も
部屋の外から様子をうかがって

 

私が部屋にいることを確認してたと

 


彼女も一睡もしていなかった

 

 

彼女に抱きしめられて
ようやく考えられるようになった

 


「ありがとう…

 

 私、アンタが友達で本当によかった…」

 


彼女は泣きながら

 

 

「だって、だって…

 

 アンタに申し訳なくって…

 

 ゴメンね… ゴメンね…」

 


「もういいってば…」

 


また2人で抱き合って泣いた

 

 

 

 

 

「ねぇ… これからどうするの?
 彼くんに謝る?」

「謝りたいに決まってるけど…
 でも私の顔を見たら
 また彼くんが傷つくかも…」

「そうだね…」

「それに
 もう私の顔なんて見たくないだろうし…」
 

「それは分かんないけどさ…」

 

 

何が正解なのか分からないけど
とにかく彼くんに謝りたかった

最後の電話で
私はちゃんと謝っていないから

 


「とりあえず
 メッセージ送ってみるとかはどう?」

「メッセージかぁ…」

 


なんか違う感じがするけど
それしか方法無いのかな…

 

 

とりあえず彼くんにメッセージを書いた

 


 私がバカだったこと

 私のせいで彼くんを傷つけたこと

 それに

 私と付き合ってくれたこと

 私を大事にしてくれたこと…

 


謝罪と感謝の言葉を並べた

 

 

彼くんのお母様への感謝とか
伝えたいことを並べたら

 

とんでもない長文になった

それでも

 

彼くんに伝えたいことの
10分の1も無いような気がして

無理だって分かってるけど

 

彼くんの傷が癒えるように

 


何度も何度も直した

 


書きながら自然と涙があふれた

 

 

 

 

 

彼くんにメッセージを送った

 

 

 

 

 

「読んでくれるかなぁ…」

「返事が来るといいね」

「期待はしてないけど…
 読んでくれたら嬉しいな…」



彼くんは読んでくれた 

 


でも やっぱり

 

彼くんからの返事は無かった

 

 

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