ある日
いつものようにナンパされて行ったお店

飲み放題・食べ放題のカラオケパブ

 

料金が安いこともあって
お客さんは若者中心だった

その店は小さなステージがあり
カラオケはそのステージで歌うスタイル

店員さんは若い男性だけで
カラオケの司会やタンバリンで盛り上げ
店内はまるでお祭り騒ぎだった

 

 

雰囲気に圧倒されながらも
周りを見ていると面白かった

 


自分達だけで盛り上がるグループ

店員さん目当ての女性客

そして

 

ナンパ目的の男性グループと
同じようにナンパ待ちの女性グループ

なかなかカオスな状況で楽しかった

 

 

それから私たちは
その店に好んで行くようになった

 


一応店内はナンパ禁止だけど
店員さんの目を盗んでナンパしてくるのが
やたら面白かったのと

手っ取り早く適当な相手を見つけられるから

私たちは時間があれば行ってたので
気がつけば常連になっていた

 

 

店員さんに顔を覚えられ
向こうから声を掛けられる快感

 


店員目当ての女性客の嫉妬の目

そんな私たちを落とそうとするナンパ男たち

なんだか自分たちが
「イイ女」になったみたいで

 

気分は最高だった

 

 

やがて店員さんの中で1人
気になる人ができた

 


クールな感じでイケメンのフロアチーフ

 

女性客のアタックを上手くかわしつつ
でも笑顔は絶やさない

男性客からも人気があり
チーフが司会の日は
店内がひときわ盛り上がってた気がする

 


そんなチーフが
私に声を掛けてくれるようになった

 

だからといって
別に口説いてくるわけでもない

ただ話し掛けてくれるだけ

 


そんな状況に私は
自分からアタックしようと決めた

 


今まで私は全て受け身
自分から行くことは生まれて初めてのこと

彼女と相談して
チーフの仕事終わりを直撃することにした

 

 

早番なら23時半がラスト

 

ただ早番の場合
店員の出待ちが多いので
そんな中で声を掛けるのは無理そう

だから遅番ラストの閉店後

 

その時間ならイケるかも…

 


そして
深夜3時ごろに入店し

 

チーフがいることを確認して
お店のビルの下で待った

 


他に出待ちはいない…

 

よし…

 

 

「チーフお疲れ様!」

「うわぁビックリした(笑)
 え?待っててくれたの?」

さすがチーフ
100点満点のリアクションだな

「これからご飯でしょ?
 一緒に食べたいな~って思って」

「ありがとう!
 いつもこの時間は1人で朝飯だから
 寂しかったんだよ~」

 

おぉ良い反応

それを見て

一緒に出待ちしてくれた彼女が

 

「じゃ、後はチーフお願いしま~す」

「え?君も一緒じゃないの?」

「お邪魔虫は退散しま~す(笑)
 もう電車動いてるから、じゃ!」

そう言って颯爽と去っていった

 

 

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