落語は演者の魅力が全て | 世の中ウオッチング

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 地域のミニ軽チャースクールのような集まりで『落語 四方山話』の噺をする機会があった。落語の通ではないが結構好きな方である。ホール落語に出かけ、打ち上げ会で噺家の皆さんと親しく会話をした経験もある。身近に、日本の伝統芸能について大学で講座を持つ先輩からの影響も大きい。忘年会では「二人羽織」や謎かけなどの言葉遊びの余興でうっかり酔っ払うこともできなかった想い出がある。

 先輩の話を復習し、図書館で落語に関する本を何冊も借りて読み込んだ。『落語とは、俺である。立川談志唯一無二の講義録』(立川談志 竹書房)は、落語の本質を解剖学的に語っていておもしろかった。図書館には数十冊は揃っていてとても全部を読めない。WEBサイトを検索すると「これでもか」と言うほど有名落語家の動画や落語情報が溢れている。落語5団体のホームページを探索するとそれぞれの団体の特徴や分裂の実態がわかってくる。

 東京と上方では古典や新作への距離感や笑いの違いもあって興味深い。

 

 落語家の人数を各団体のホームページから算出すると、前座から真打ちまで含めて東京の4団体で約593名、上方落語協会に約286名、合計約879名も居ることに驚く。ところが平均年収は二つ目で約500万円、真打ちで約650万円とあって「えっ、この程度」と驚くが、多分別口のお祝儀がプラスされる。笑点メンバーや人気落語家だと3千万円以上だというから一流企業の役員並みかそれ以上。競争率から言えば落語家の方が断然有利。先日、地元の会館でのこと,真打ちと二つ目の二人の出演で入場料が千円、入場者数が約70名ほどだった。お二人の実収入はいかほどに成るのかと心配して計算したくなりました。

 お祝儀と言えば、自分が昇進したときは頂けるが、後輩が昇進すれば渡す立場でプラマイ零か。お囃子や前座の人にも差し上げねばならない。その上昇進したときは物入りである。名前入りの手ぬぐい、扇子、後幟、提灯、招き、千社札等の制作費用。費用を賄うためにはお披露目の興行やパーティに精を出さねばならない。おっと、その前に大事なことは「名前」の決定。一門が大事にしている名跡がある、格の違いもある。襲名となればその名前を持つ方やそのご遺族の承諾を得なければならない。その場合も業界の習わしで事前に訪問日時の予約をお願いするのではなく、会えるまで訪問するのだとか。

 徒弟制度の色濃い師弟関係、伝統的な慣習や約束事を大事にする世界だからこそ、見習いや前座修行の期間も大事という事になる。

 

 さて、小生が発表の当日、これまで学んだことを約30頁のパワーポイントに仕上げました。また、古典落語の名手 古今亭志ん朝、ひょうひょうとした味が格別な柳家小三治、爆笑王の林家三平、新作ものの名手でマクラもおもしろい柳家喬太郎、今が旬の春風亭一之輔と自分の好みで選んだCDも準備して会場に臨みました。ところが来場者数はこれまでの集会の最低。「うン~、参ったさんの成田山」です。

 

 「落語とは演者その人の魅力」が問われるもので、なまじの解説は無用という事を思い知らされました。