高齢者&弱者の見守り・支援ネットワークの必要性 | 世の中ウオッチング

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 筆者の住む集合住宅は、横浜市郊外にあって1000戸と大規模だが築40年を経ている。住民の高齢化が進み、子供が独立した後の二人、或いは伴侶に先立たれた単身世帯も増加している。表札には男性世帯主の名前があるのに実は残された奥さんが一人住まいというのが多いのに驚かされる。主に防犯上の都合らしい。

 これら高齢者世帯や独居老人は、災害時に、普段の生活でも不便・不自由があるから支援を要する。そのために支援対象者リストが準備されていなければならない。

 ところが、住民の家族構成などの実態は、国勢調査で把握されているにも関わらず管理組合や自治会にはフィードバックされていない。個人情報保護法によるらしい。巡回に来る交番のお巡りさんに聞いても完全には把握できていない由。

 これでは緊急時の対応に困る。

 実際に起こった事だが、管理事務所から地域の世話役をしている筆者に「ご近所の独居老人の様子を見に行ってくれ」という電話があった。「投資の打ち合わせのはずなのに連絡もなく来店がない」、という銀行から管理事務所への問い合わせが発端。

 チャイムを鳴らしても応答なし。玄関には当日の新聞がそのまま。管理人や近所の人、担当民生委員も何事かと集まってくる。取り敢えず警察に電話をすると、すぐに3人ほどの警官が駆けつけてくれた。鍵は在宅と想定されるご本人だけが所有しているので外から室内の様子を窺うだけ。もし室内に本人が意識不明で倒れていたら、この夏の暑い盛り、グズグズはできない。

 筆者達が警官に「責任を持つから、鍵屋さんを呼ぼう・窓を破ろう」と問い掛けるがいずれも拒否。本人か委託された身内の許可がないと不法侵入になるという。緊急時連絡先の提出は強制ではないから生憎どの組織も把握していない。とにかく本人の身内か親戚縁者を探し出して許可を取るしかない事が判明。それからが大変。神奈川県警では見つからず警視庁まで捜査範囲を広げて3時間後ようやく遠い親戚が見つかった。それから鍵屋さんを呼んで解錠。

 室内に踏み込むと物が溢れ、足の踏み場もないほど。壁により掛かるようにぐったりしている独居老人を発見。駆けつけていた救急隊員がそれから搬送先を探すが容易に見つからない。また1時間以上を浪費。老人はその時は命を取り留めたが半年後に亡くなられた。相続人の判定が遅れたのか、しばらくはその住戸は裁判所管理となり、雑草の伸びた庭の掃除にさえ誰も立ち入れない状態が続いた。

 

 このような例外的なことばかりでなく、高齢者や弱者に対しては、普段からの見守り、悩み相談、煩瑣な行政手続き、そしてデジタル時代ならではのパソコンやスマホの操作やトラブルへの対処等々支援を要する事柄は多い。

 交遊マッチングなど工夫を凝らし対象者のリストが作成されても、他人の干渉を嫌い、接触を拒む人もいる。背景に弱さを外部の人に見せるのは恥だとする独特の文化もある。

それでも健康的で快適な生活を維持するためには、支援を要する人たちの洗い出しと支援者のネットワークは必要だ。 目下、数人の有志とプランを作成し協議する運びになっている。