両親との話し合いも終わり、新居に荷物を運んだ。




新居は実家から車で30分位の場所で、高校生の時に利用していた施設などもあり、馴染みの町だった。





父から貰ったお金でリサイクルショップに行き、洗濯機とワンドアの小さい冷蔵庫を買った。





TVはまーたんの部屋にあった物を持ってきた。






新居の近くで働いているまーたんのお母さんがお鍋やフライパンを買ってくれた。






ただキッチンコンロは電熱器だった為、お湯を沸かす位しか出来ない。




さらにわたしは料理が出来なかった。
玉子焼きすらまともに焼けない。




実家では全部母任せのダメ娘だったから。





この時のわたしとまーたんの主食はまーたんがバイト先のコンビニから貰って帰ってくる廃棄のお弁当だった。




お弁当がない日は別のコンビニで買う、そんな生活を続けていたら2人共半年間で20kgも太ってしまった!





わたしに至っては元々生理不順ではあったが、半年間生理が止まってしまった。





この時はまだ若かったし、2人とも健康の事なんて全然気にしてなくて、好きな物を食べてタバコもガンガン吸っていた。





離れている間の不安がないだけでわたしは幸せだったが、見たくない物を見てしまったりもした。





まーたんの私物の中に真新しいぬいぐるみがあり、おかしいと思って問いただすとヨコちゃんと動物園に行った時に買った物だと白状した。





他にも財布の中にまーたんが初めて付き合った彼女の写真が入っていて、実はその財布は彼女から貰った物でずっと使い続けていた事を知る。






まーたんにとっては過去の事であり、何とも思っていないようでほんとにごめんねと言い、後日ぬいぐるみも財布も捨ててくれた。






わたしはまーたんが初彼氏なので比べる過去がない。
過去があればわたしも貰った物や思い出をとっておいたのだろうか?




仮にとっておいたとしてもわたしならバレるような事はしない。





こうやって過去を振り返るとまーたんは昔から自分に置き換えて物事を考えられない、自分がされて嫌な事は人にしない…という考えがない。





それがわかる人なら不倫なんてしないか…







話を戻します。




部屋も住んでみると壁が薄く、右隣に住む男性が嘔吐している声が聞こえたり、左隣の女性の部屋から大音量でミスチルの曲が聞こえてきたりした。




きっとわたし達の生活音もだだ漏れだったと思う。





昼間掃除機をかけていると下の部屋から床を突かれるようになり、最後はうるさいと苦情がきた。






こうした出来事が蓄積されストレスになっていた頃、まーたんのお父さんから今実家使ってないから住めばと言ってきた。







今より家賃が安くなる事もあり、わたし達はわずか1年でコーポを解約し、まーたんの実家に戻る事にした。