6月の洋書として Black Box Thinking をご紹介しています。
今回は第7章
The Nozzle Paradox
ノズルのパラドックス
Uniliverは、円滑に機能するノズルを開発するのに、どうやって成功したか?
まず、高圧システムや流体力学の専門家を含む、素晴らしい数学者チームに頼みました。
彼らは新しいデザインを考え出し、新しいノズルが作られましたが、失敗でした。
次に、Uniliverが頼んだのは、生物学者です。
生物学者たちは、形状を少しずつ変えたり、様々な試験を行ったりしました。
その数なんと449回。
そして1つの素晴らしいノズルが生まれました。
It is not coincidental that the biologists chose this strategy:
it mirrors how change happens in nature.
生物学者がこの戦略を選んだのは偶然ではない。
それは、自然界でどのように変化が起こるかを反映している。
新しいノズルを開発するのに成功したのは、生物学者の試す、失敗する、そこから学ぶ。
というやり方のおかげだということです。
次に企業全体の話で、ある経済学者によると、
アメリカの企業の10%が毎年、破産していると言います。
研究や理論から始まり、技術に発展し、実践的に適用されていく、
というLinear model(線形モデル)が従来のやり方でした。
それと反対なのが、
トライ&エラーをして、技術に発展させ、理論ができあがるというもの。
ソフトウェアでも商品の開発でも、100%完璧なものを作り上げてから世の中に出すのではありません。
それは昔のやり方です。
今、主流になっているのは、初期段階のものをearly adapter に試してもらいます。
(マーケティング用語で、アーリー・アダプターと言う)
そして、フィードバックを得たり、予想しなかった欠陥部分に気づき、修正していきます。
まさにトライ&エラーを続けて、より良い商品を作っていくということです。
We are hardwired to think that the world is simpler than it really is.
私たちは、世界が本当よりもずっと単純であると思うようになっている。
私たちは世界が単純であると思うから、もうすでに全て分かっていると思い、
見るもの、聞くことを理解しやすいように、自分や他人に言い換えているということでしょう。
単純であると思うから、ある事象を理解しようとしたとき、
今ある知識や考えの中から、その説明をしようとするのかもしれません。
本の中で例として出てきたのは、イングランドのフットボールチームで
ヘッドコーチをしていたイタリア人のFabio Capello氏でした。
チームが勝つと、彼の権威主義者的な指導が良いとの記事が書かれる。
チームが負けると、彼は厳しすぎるという記事。
これをnarrative fallacies と呼んでいます。
wikipedia によると、
跡付けでストーリーを構築し、事象に特定可能な原因があると思い込む。
次回は第8章をご紹介します。