6月の洋書として Black Box Thinking をご紹介しています。
今回は第4章
Wrong Convictions
間違った有罪判決
間違った有罪判決を全て失くそうと思ったら、起訴の証拠のハードルをもっと上げると良い。
しかし、そうすると、もっと多くの犯罪者が自由になってしまうと懸念されています。
ニューヨークのある被告側弁護人が言うには
When people were convicted, people took is as confirmation that
they system was working just fine.
人(誰か)が有罪判決を言い渡されると、
人々はシステムが正常に機能していることの証だととる。
つまり、有罪判決を言い渡されたのが、人違いだったとしても、有罪判決が出されたということで、人々は安心し、そのシステムが正しく機能していると思うということです。だからシステムの欠陥に気づかないし、システムを変更しようとは思いません。
DNAテストが導入されるまでは、血液分析がよく使われていました。
これで容疑者のリストを狭めることができても、1人に絞れるわけではありません。
DNAテストが導入されてからは、容疑者の特定に役立っています。
全く無関係な2人がマッチしたDNAを持つのは10億人に1人と言われています。
2005年までに、300以上の人々の有罪判決が、DNAテスト後に覆されました。
一方で、11歳の女の子をレイプし殺害したとして、有罪判決を言い渡されたJuan Rivera氏。
刑務所に入ってから13年後、DNAテストを受け、現場にあったものと彼のDNAは違うことが分かりました。
それでも、その後6年間を刑務所で過ごさなければなりませんでした。
新しい証拠が出ても、検察官は、間違いを認めたくありません。
無実の人の人生を壊したと思いたくありません。
プロとして、してはいけない間違いだから、認めることができません。
They are attached to their convictions,
and they don't want to see their work called into question.
検察官は(自分が下した)有罪判決に愛着があって、
自分がした仕事を疑問に思われたくない。
Juan Rivera氏は4回目の裁判でやっと釈放されることになりました。
すでに19年刑務所にいた頃です。
釈放された後の彼の言葉が印象的です。
No matter how often they twisted the story to fit in with the new evidence,
I could at least hold onto that truth.
彼らが新しい証拠に合うように、話をどれだけ捻じ曲げたとしても、
私は少なくとも、真実にすがることができた。
世の中には、まだまだ無罪の人が有罪判決を言い渡されて刑務所で過ごしています。
本当に犯罪を犯した人は、自由に動きまわり、また犯罪を犯していることもあります。
医療ミスを認めない医者。
有罪判決の間違いを認めない検察官。
どんな業種でも、間違いを認めることは成長や成功に必要なことだとわかります。
次回は第5章
Intellectual Contortions
知的ゆがみ
賢い人ほど間違いを認められない!?