2020年5月の洋書として、Willpowerをご紹介しています。
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Willpower: Why Self-Control is the Secret of Su...
3,094円
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今回は1章で
Is willpower more than a metaphor?
意志の力はメタファーだけ?
Amanda Palmerというイギリス人女性で、彫刻になったように全く動かないという大道芸を6年間続けた人の話から始まります。彼女はこう言います。
If it's just one project at a time,
I can focus on it for hours.
一度に1つのプロジェクトだけなら、
何時間もそれに集中できる。
焼きたちのチョコチップクッキーの香りがする中、
1)クッキーがもらえたグループ
2)何も食べ物がもらえなかったグループ
3)クッキーの代わりにカブを与えられたグループ
という3つのグループに分けて実験を行いました。
この後に難しいパズルを解いてもらうと、1と2のグループは20分間パズルに取り組んだのに対して、3のグループだけが8分ほどでパズルを解くのをやめました。
この結果を元に、心理学者で結婚セラピストのDon Baucom氏は、共働きで夫婦喧嘩が多い理由を発見しました。それは今までの生活と、夫婦が仕事の時間を減らしてみた時とを比べたときに分かったことです。
People were using up all their willpower on the job.
人々は仕事で全ての意志の力を使いきっていた。
つまり、共働きで夫婦が長時間仕事をしていることで、意志の力の多く、もしくは全てが職場で費やされてしまいます。そして帰宅してからは、すでに意志の力を使い果たしているため、自制心がきかず、喧嘩になっているということです。
この場合のように、仕事をする時間を減らすという行動はできなくても、このことを知ることで、お互いの状況を理解し合って、喧嘩にならないように何かできるかもしれませんね。
他にも、映画を観る際に、感情を抑えたり、感情を偽るよう言われたりした人たちは、ego depletion 「自己消耗」してしまうこともわかりました。
脳の中の anterior cingulate cortex 全帯状皮質 と呼ばれる部分が、
自分がしていることと、
自分がしようとしていることの不一致を観察します。
Red と書かれた文字が何か聞かれてRedと素早く答えることができても、
Greenと書かれた文字が何か聞かれると、正確に答えるのに時間がかかってしまいます。
それは色と文字が一致しているかどうか、不一致かどうかが関連しているからだと。
Stroop taskという呼ばれる実験で、ロシア語が話せないと主張するスパイに、上記ような質問をすると、2番目の質問で答えるのに時間がかかることから、本当は言語が分かっていて、「不一致」を感じているのだと言います。
The ego depletion causes a slowdown in the anterior cingulate cortex,
the brain area that's crucial to self-control.
自己消耗は自制心に必要な脳の分野、
全帯状皮質で後れを引き起こす。
意志の力は量が限られています。カロリーのように使うと消耗します。そして全ての作業で、意志の力は同じ在庫から使われます。だから1日のうちに、何をどれぐらいするのか、意識的に考えるほうが良いのだなと感じました。
アルコールや薬物などの中毒者や、禁煙しようとする人、ダイエットのために食事制限をしている人など、何かをやめようとして自制心を常に働かせている場合に、自己消耗しやすくなります。実際には、中毒の対象物(お酒や薬物、タバコ、甘いものなど)への欲がもっと強くなってしまうというのも理解できます。
だから、人生で大きな変化を求めるなら、
Focus on one project at a time.
一度に1つのプロジェクトに集中する。
新年の抱負も同じことが言えます。
毎年新しい年になると、抱負を立てるのに、すぐに断念してしまう人が多いと思います。理由として「意志が弱いから」と言う場合が多いと思いますが、抱負自体に問題があると言います。
No one has enough willpower for that list.
誰もそのリストに十分な意思がない。
抱負も同じで、
×たくさんの抱負
○1つの抱負
次回は
Where does the power in willpower come from?
意志の力のパワーはどこから来るのか?