2020年3月の洋書の2冊目として Made to Stick をご紹介しています。
![]() |
Made to Stick: Why some ideas take hold and oth...
1,204円
Amazon |
今回は第1章の Simple シンプル です。
What we mean by "simple" is finding the core of the message.
「シンプル」で意味するのは、メッセージの核となるものを見つけること。
commander's intent (指揮官の意図)という概念から始まります。
これは計画の目標や、求める最終の形を、人に明確に伝えることです。
軍隊でよく使われるということですが、会社でもチームでも応用できる概念です。
社長やリーダーのcommander's intentが明確であれば、
従業員やチームのメンバーはその求められる目的地にたどりつくために、
細かい判断は自分で下すことができます。
例えば、本書で出てきた例は、Southwest サウスウエスト航空です。
30年以上も連続で、利益を上げている航空会社として、
その成功の秘訣が取り上げられています。
最も長い期間CEOを務めたHerb Keleher氏の言葉
We are The low-fare airline.
私たちは低価格の航空会社だ。
CEOがこうハッキリと宣言することで、従業員はサービスをする際や、
新しいアイデアを出す際に、迷うことなく、判断していくことができる基準となります。
この宣言こそが、サウスウエスト航空が成功し続ける要因だと述べています。
この宣言が
Maximize shareholder value 株主価値を最大限に
だとすると、これは正確だけれども、訴えかけるメッセージにはならないので、
意味をなさなくなるという例が分かりやすかったです。
おそらくどんな企業でも、社長や責任者が事細かく従業員のやることに口出しをするよりも、
このように明確な宣言を出し、それをみんなで共有することで、
同じ目標や目的地に向かって仕事をしていくことができることでしょう。
他には、ジャーナリストが記事を書く際に忘れがちなのは
They get so stepped in the details that they fail to see the message's core.
彼らは詳細を気にするあまり、メッセージの核を見落としてしまう。
不確かなことが多い環境の中で、人は選択をしなければなりません。
たとえ関連性がない情報でも、不確かさや複雑さは、人の決断を誤らせます。
Simple messages are core and compact.
シンプルなメッセージは、コアで、コンパクトなもの。
一番良い例は諺です。
ことわざはシンプルだからこそ定着しやすいのだと言います。
まさにコアでコンパクト。
比喩的表現で印象付ける方法を実践しているのがディズニーです。
ディズニーでは、従業員のことをキャストメンバーと言ったり、
お客様のことをゲストと呼んだりしています。制服はコスチューム(衣装)だし、
面接はオーディションと呼ぶのだそうですね。
従業員の役割は、ディズニーランドという舞台でのパフォーマンスだと感じさせることで、
お客様(ゲスト)が非日常の体験をできる場所になる。
これがディズニーランドの成功の秘訣だと言っています。
第1章から、具体例がたっぷりで、なかなか読み応え、そしてまとめ甲斐のある章でした。
次回は第2章で、Unexpected 意外なこと をご紹介します。