12月の洋書:brain rules 脳のルール10章です。

 

この章のテーマは music です。

 

まず、音楽が脳に与える影響について述べることは複雑なことだという話から始まります。それは「音楽」というものの定義がハッキリとしていないからです。

 

以前、NatureというジャーナルがMozart Effect. モーツァルト効果というものを発表しました。

 

Listening to Mozart, the news stories claimed, will improve your ability to do math.

ニュースが主張するには、モーツァルトを聴くと、数学の能力が向上する。

 

しかしハッキリとこの効果を示すデータはなく、後にNatureは謝罪文を出しました。このように音楽とその効果について実験で証明をするのは、なかなか難しいようです。

 

今分かっていることは、

 

Musicians were expecially good at discerning sadness and fear. 

音楽家は特に、悲しみと恐れを見分けるのが得意だ。

 

Music lessons make kids more empathetic.

音楽のレッスンは子供の共感能力をもっと上げる。

 

Music can induce hormonal changes. 

音楽はホルモンの変化を引き起こす。

 

ホルモンの変化で、ムードも変化します。落ち込んでいる時に、音楽を聴いて元気になったというようなことはよくありますね。これは音楽を聴くことでホルモンが変化し、その結果、機嫌も変わるからです。特にお気に入りの曲を聴いた時、ドーパミンが脳の部分に送られます。

 

「幸せホルモン」とも呼ばれるホルモンの1種、オキシトシンについて。

 

Oxytocin plays a huge role in social bonding.

オキシトシンは、社会的結合でかなり大きな役割を担う。

 

人は一緒に音楽を演奏していると、オキシトシンが分泌されます。

 

音楽セラピーというものもあり、第一次世界大戦中に、英国は音楽家を雇い、傷ついた兵士たちに音楽を聴かせたと言います。兵士たちの気持ちが落ち着いただけでなく、痛みも少なくなったと感じたそうです。この効果から第二次世界大戦中でも音楽セラピーは使われました。

 

他にも、NICU(新生児特定集中治療室)にいる赤ちゃんに音楽を聞かせたところ、体重が急速に増加したり、ストレスレベルが減ったという結果も出ています。

 

このように、音楽が与える影響について分かっていることもあります。ジャーナルで紹介されたように、「モーツァルトを聴くのが良い」といったことを鵜呑みにしてしまうのはよくありませんが、音楽がムードの変化につながったり、癒しの効果があるのは真実だと言えそうです。

 

次回は11章で、gender (性別) についてご紹介します。