すっかりお待たせしてしまいました。頭と心の整理に時間を要しました。
今も決して整理しきれたわけではないけど、
これを書くことがまた整理になるかもしれないと、
そんなことを考えながらキーボードを叩いています。
きっと長くなるから、もしかしたらいつも以上に長くなるから、
そのつもりで読み進めてもらえたらと思います。
結論から言うと、ダメでした。
想いをしたためた紙はポケットに入れて、
山口さんと食事に行きました。
そんなに時間はないみたいだったから、
きちんと言わないとと焦っていたけど、
でも一緒に食事してるだけでもすごく嬉しくて楽しくて、
ちょっと先延ばしにしてしまってました。
食事が終わってちょっとして、山口さんから
『何か話があったんじゃないの?
僕も報告することがあるんです。
陽太君の話と関係あるか分からないけど。』
とボールを投げられたとき、
何か話す前から、何か聞く前から
あ、もう終わるんだなって予感しました。
何を言われるか気がついてしまったんです。
それを考えたら、もう俺から話はできないって思いました。
俺の話を山口さんに向けても、それは宙を漂って消えるだけ。
余計にみじめになるくらいなら、
聞くだけ聞いてすぐ立ち去ろうって思ってしまいました。
「先にどうぞ」
そんなやり取りを2往復。
ちょっと笑えた。
でもきちんと話そうって思った。
もう最後だからきちんと伝えようって思った。
ポケットの中の紙をこっそり握りしめた。
たくさん書いた想いを口に出そうと決心したのに、
あんなに何度も読み返したのに、
一言も内容を思い出せなかった。
手が震えた。
目が泳いだ。
怖かった。
ただ怖かった。
「えっと、あの、」
そんな言葉しか口に出せなくて、
そんな自分が情けなくてまたちょっと笑えて、
笑ったらほんの少しだけ力が湧いた。
「ちょっとカンペがあるんです。」
なんておどけたフリして紙を見たけど、
でも読むんじゃなくて話したかったから、
チラ見してすぐ紙をしまって、
もう一度山口さんに向き合うも、
やっぱり言葉は出てこない。
山口さんが笑いながら
「そのカンペを読もうか?」
って手を差しのべたとき、それが一番なのかもしれないと思った。
自分が読むために書いたから乱雑だし、
とても言えないような想いも書いていたから、やばいかと思ったけど、
このまま喋れないよりはマシだと思って渡した。
グチャグチャに折りたたんだ紙の内容は、かなり痛い。そして重い。
そんなことは分かってた。だけど渡した。
読み始めた山口さんを見たら、いたたまれなくなってトイレに立った。
トイレに行って、自分の姿を鏡で見て驚いた。もう泣きそうな顔してた。
ビックリしたらちょっと冷静になれた。
冷静になったら、こんなときに席にいないってどうなんだって思えてきて、
今度は走って席まで戻った変な奴。
席に戻ると、山口さんはまだ俺の書いたものを読んでた。
読み終えるのを黙って待った。うつむいて待った。
読み終えた山口さんの顔は怖くて見れなかったけど
きっとすごく困った顔をしてただろうな。
読み終えて、紙をテーブルに置いて、
『この手紙はどうしますか?』
って言われたから、
「燃やします。」
って答えた。
『僕の報告っていうのはね・・・』
「たぶん俺はその先が分かります」
そんなやり取りからスタートした2人の会話。
『実は先月、とある集まりがあったときに出会った人がいて、
その人と付き合うことになったんです。
その人はみんなにカミングアウトをしている人で、
僕は一目ぼれをしてしまったみたいになって、
その日のうちに付き合ってくださいとか言っちゃったりして。』
そうやって照れと困りをごちゃ混ぜにしたような表情をしてました。
『陽太君はすごく良い子だと思ってます。
ご両親にきちんと育てられたんだと感じます。
しっかりしていて、常識もあって、夢に向かって頑張っていて、
とても尊敬できるところが多いです。
かっこいいし、かわいいところもあるし(黙って読み進めてくださいw)、
体もきれいだし、本当に素晴らしい人だと思ってます。
付き合うことになった人は、陽太君よりもう少し若いけど、
家庭環境に恵まれず、辛い幼少期を過ごしていて、
高校も中退しているし、中学さえもあやしい。
常識もないし、ずっと不安定で、だから放っておけない感じで。
陽太君と一緒に暮らしたらと考えたこともあるし、
帰りを待っていてくれたらと考えたこともあるし、
どちらと付き合った方が良いかと考えたら、答えは明らかだけど、
こればかりは本能だから。理性ではなくて。
僕はしばらく特定の人はいなくていいかなって思ってました。
この先結婚することもないし、
男同士だから、お互い割り切ってという不特定多数の時期もありました。
でも、今は特定の人ができたんです。』
やっぱりそうかって思いました。驚きはなかった。
もちろん苦しかった。キツかったよ。
本当は泣きそうだったし、ただうなずくしかできなかった。
だけど、ようやく終わったんだなって思った。
山口さんと出会って約1年、浮いたり沈んだり本当に忙しかったなぁ。
そんなことを考えてたら、自然と口が動いたんだ。
「あー、長かったなー!
覚えてます?去年の4月に初めて会って約1年になるんすよ。」
『そっか、まだちょっと肌寒かったもんね。』
「もう俺本当に頑張ったと思うもん。本当よく頑張ったなー。
メールが返ってこなけりゃ、もうダメなのかって思ったし、
突然電話があったらバクバクしたし、もう本当大変だったんですから。
同僚やご両親に紹介されれば、あ、その位置に来られたのかなって期待して、
でも連絡返って来なくて、落ち込んだりして、
あなたの言う距離感にすげー戸惑ってたんすから。
俺絶対ハゲると思ったんすから。マジで抜け毛増えましたからね!」
強がり?うん、それはある。
笑っていたかったから、泣き顔なんて見せたくなかったから、
懸命に明るい声と表情を作った。
でも、出た言葉は俺がずっと抱えてた気持ちで、
それをやっと、等身大の言葉で吐き出せた気がするんだ。
「ぶっちゃけ、俺の位置ってどこだったんすか?」
なんて聞けたんだから、成長したよね。
『僕の中で、そういう位置付けって特にないんです。
もちろん特別な人は特別だけど、
でも周りにいる人みんな、友達だからとか同僚だからとか、
そういうのはないんですよ。
僕は陽太君を素敵だと思っています。(だから黙って読んでってばw)
そして、素敵な人と過ごす時間はとても素敵です。
だからその素敵な時間をみんなで共有したいと思うから、
いろんな人に紹介していろんな繋がりができればと思って。』
「そういうことだったんですね。俺はすごい期待しちゃってたんですよー。
実家に突然伺うことになったときなんて、もうどんだけ焦ったか分かります?
汚ねー格好で行って、しかも手土産も持たず、さらには酔っ払って床で寝て(笑)
すげーみっともなくて、いつかご両親に謝らなきゃって思ってんですから!」
『そんなこともあったねー。』
なんて2人で笑ったりしてね。
『でも本当に、陽太君は素敵ですよ。僕はすごく気に入ってました。
夢に向かって頑張っている姿もすごいことだと思います。
まじめで、一途で。
ただその一途さに戸惑ってもいてね。
僕のことを一途に思ってくれているのはずっと感じてたから。
その一途さを傷つけないようにするにはどうしたらいいかって考えてました。』
「えー、ちなみにずっとっていつからっすか?」
『初めて食事をしたときから。』
「そ、そんな前から!?ってかほぼ最初!」
なんという小っ恥ずかしい男orz。
でもそういうことなんだよね。
初めからそういう対象ではなかったということだったんだよね。
付き合うとかいう対象には見れないけど、遊ぶならいいなと。
でもあんまり好き好きでも困るから距離を開けたいけど、
あまりに俺が頑張って連絡するから、邪険にし過ぎるのもかわいそう。
そんな心境のまま1年来たんだろうなって。
結局俺はお気に入りの域を出ることはできなかった。
「ですよねー。俺重かったっすよね。
もっとライトに、ちょっと深い友達、くらいに思えていたら、
気楽に仲良くできたのかもしれないっすよね。
でもね、山口さん。
俺はあなたに会えて、あなたを好きになって良かったです。
まさか自分がね、こんなに人を好きになることがあるなんて思ってなかった。
一生味わうことはできないだろうって思ってました。
そういう感覚を知ることができて、今は本当に良かったと思ってます。
あなたとの繋がりができて本当にうれしく思ってるんですよ。
それとね、ずっとお礼を言いたかったことがあって。
俺が夢を目標に変える決心をしたのは去年の7月なんです。
とても大切な日があって、その日はすごく緊張してました。
本当に手足の震えが止まらないくらいだったそのときに、
山口さんが突然電話をくれたんですよ。何も知らせてなかったのに。」
『そんなことあったんだ?』
「うん。いよいよこれからってときにかかってきた電話の内容は、
『明日休みですか?』
もう笑っちゃいましたよ。全然関係ねーって。
でもそのおかげで緊張が解けてね。その日は良いものになったんです。
そしてそれを機に、俺は引っ越す決心をしたんですよ。
今の俺があるのはあなたのおかげ。感謝してます。
目標に向けて頑張っているとは言っても、なかなかうまくいかないし、
何やってんだろーって落ち込んでばっかりだし、今でも不安だらけだけど、
引っ越して不安と孤独に潰れそうなときに、
あなたの存在でどうにかやって来られたような気がしてるんです。
だから辛かったこともたくさんあったけど、山口さんと出会えて本当によかったです。
それに、斉藤さんや森さん、他にもいろんな人と繋がりができて、
それにもすごく感謝してます。本当に。すごく。」
言いたいことちゃんと言えたって思った。
たくさん抱えてた感謝の気持ち。やっとちゃんと伝えられたって。
お互い自然な笑顔だったんじゃないかな。きっと純粋な笑顔だったんじゃないかな。
心底うれしく思ったし、心底安心したんだ。
なんでこんな簡単なこと、もっと早く伝えられなかったんだろうね。
『僕は陽太君がすごく大切です。大切な友達です。
素敵な関係を失くすのはとても残念です。
陽太君が落ち着いたら、そしてそれを望んでくれるなら、
僕はこの繋がりを大切にしていきたいと思ってます。
またカヌーにも行きたいし、プールにも行きたい。
みんなでBBQしたり、遊びに行ったりしたいです。
あなたが良ければ、いつか相方も紹介しますよ。』
複雑だよね。すごく。うれしいような悲しいような。
でも決してそれは俺に同情しているわけでないことはすぐに分かった。
「今はまだよく分からないかな。
きっと今は相方を見ても嫉妬するだろうし。
でもあなたの仕事の取り組みや展望もそうだけど、
エネルギーを持っている人の近くにいることはすごく刺激になる。
その影響を受けたいとも思っているから、
いつか俺が前に踏み出せたら、そのときは遊びましょうね。」
『そうですね。分かりました。
この手紙はもらっておきますね。』
それを結びに店を出ました。
今回は遠慮なくごちそうになりました。
店を出て歩きながら、
「あーーーーー!やっと終わったー!」
なんてちょっとデカい声出してみたりね(笑)
「ちょっとどうすんすか、俺このままじゃ恋人いない歴10年になっちゃうんですけど!」
なんて軽口を叩いてみたりしながら途中まで一緒に歩いてね。
『きっと素敵な出会いがあるよ。』
っていう言葉がちょっと心に刺さった気がして、
「じゃあ紹介してくださいよ。でもこれは俺の強がりだけどね(笑)」
なんて笑ってさ。
いよいよ別れのとき。
山口さんが手を差し出したから、ギュッて握った。
そのままアメリカ人っぽいハグをした。
背中をポンポンって叩いてさ。
自然と「また」って言い合った。
体を離して、目を見て手を振り合って、
俺は体を反対に向けた。
絶対振り返らないって思った。
ショックだった気もする。
だけど本当は、自分が思っている以上に、心がずっと感じていた結末だったから、
意外とスッキリした感覚の方が強かった。
でも振り返ってはいけない気がした。絶対。
そのまま近くのコンビニまで歩いて、タバコを買った。
数ヶ月ぶりに吸うタバコは、頭にガツンときた。
クラクラしながら吸ったけど、火を消したときに、
「あ、終わったんだな」そう思った。
そんで少し泣いた。
涙を拭いて、電車ではこらえた。
駅から家までの道すがら、またちょっと泣きそうだったけど我慢した。
でも家に着いて、電気も点けずにベッドに横になったら、
もう止められなかった。声も出るくらいだった。止まらなかった。
ただ泣いて、鼻かんで、その繰り返し。
右目の涙は左目に。左目の涙は枕に。
自分が失恋して泣く日が来ようとは思わなかった。
哀しいのかも悔しいのかも分からず、
ただただ泣いて、そのまま眠ったみたいです。
朝起きて、目の横に走る涙の跡を見て、
少し笑って、また少し泣いた。
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いやー、恐ろしく長い文章になってしまいましたね。
今日は仕事中にこの文を書いてましたが、
書いてる途中で思い出しては泣けてきて、
トイレに行って顔洗ってのローテーション。
今日は全く仕事が手につかなかったけど、
たまにはこんな日があってもいいと、自分を甘やかします。
こうして整理したことで、次の一歩の助走になるかもしれないしね。
自分が山口さんに送ったカンペの内容をしたためようか。
たくさんの俺の心の言葉。
照れくさいけど、恥ずかしいけど、誰かの力になれるかも。
なんて言っても、本当は自分の言葉を記しておきたいだけかな。
カンペは山口さんの手元に渡ってしまったから、ここに残すか考えておきます。
山口さんとのやり取りだけをひたすら書き連ねてきて、
目的を失ったこのブログの行く末をどうするか。
こちらもまだ考え中です。
それにしたって長すぎるだろ!
なんて突っ込みは大歓迎です(笑)
まだ思い出すたび泣いてしまいそうで、
優しい言葉にも泣けてしまいそうで、
相変わらず強くなれない俺だけど、
みなさんありがとう。
山口さんありがとう。
そして自分にもありがとう。
陽太