名残り火名残り火―てのひらの闇〈2〉 (文春文庫)/藤原 伊織 ¥700 Amazon.co.jp 「ふむ。いい店だ」 ナミちゃんが唇をとがらせた。 「なんでいい店なのよ」 「誉められて反論する人もめずらしい。いい酒と、いい音楽と、いいオーナーがいる。それだけでじゅうぶんいい店ではないのかな」 「あんた、そこにまだ十分しか座ってないじゃない。なのになんでいいオーナーだと思うわけ?」 「シンプルで力強い」 「・・・・・・・・・・」 「皮肉ではないよ。十分でわかることもある」