「ソフィーの世界」 ヨースタイン ゴルデル
今までは哲学というと何やら難しいものっていうイメージがあったのだけど、それがこの本を読んで面白くて興味深いものに変わりました。
この本の凄いところはただの「やさしい哲学の本」じゃなくて物語まで十二分に楽しめることだと思います。
ある人がこの本を不思議の国のアリスの現代版みたいだと言ったらしく、ほんとにその言葉がぴったり合うような本だと思います。
哲学の面で言えば、スピノザの考えが一番好きで一番私の思うものと似ていました。
「神すなわち自然」と彼は言い、物事を「永遠の相のもと」に見ようとした。
私にとっても神は世界を造った者でも、全ての頂点に立つ者でもなく、もっと大きな、また自分の内にいるようなそんな存在です。
他にもキュニコス派の "本当の幸せとは、物質的な贅沢や政治権力や健康などの外面的物とは関係ない" といった主張も気に入っています。
物語は中盤からが特に面白かったです。
ヒルデとソフィーの関係は予想外で驚いたし、本の登場人物が本から抜け出して見えないながらも読み手の世界にいるって発想も好きでした。
あとは行と行の間にも物語は進んでいるという発想も。
ところでアルベルトが言う「一段落!」がうまく理解できてなかったのだけど、あれってどういう意味なんでしょう。
★★★★☆
「つきのふね」 森 絵都
- つきのふね/森 絵都
- ¥1,470
<ネタばれ>
主人公の年齢が自分より下なせいかそこまで感情移入はされなかったのだけど、こういう気持ちになったことはある、と過去の自分を思い出す部分がかなりありました。
大人でもない子供でもない、未来に不安を抱えてるそんな時期は私に限らず誰にでもあるんですね。
大変な時代だから、生き抜いてく為に支え、というか心の拠りどころみたいなものが必要なんだと思う。
ツユキが言っていた「人より壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に生まれ持ってるんだよ」という言葉が私の中ですごく強く残っています。
★★★
「白い巨塔」 山崎 豊子
- 新潮文庫「白い巨塔 全5巻セット」/山崎 豊子

¥3,178
<ネタばれ>
山崎さんの小説は難しい内容にも関わらず、わかりやすいのでとても好きです。
けれど財前教授のことは最後まで好きになれませんでした。彼の弱い部分や母親に対する思いやりも見えたけど、あの目上の人に対する媚びようと目下の人に対する見下しようは見ていて気分が悪くなりました。
それと反対に里見さんは大好き。
家族のことを1番に考えたら確かに彼は手を出すべきじゃなかったのかもしれない。
それでも、彼以外に遺族を助けられる人はいないという事実に直面して、医師生命をも捨てる覚悟で正面から立ち向かっていく姿は本当ににかっこよかった。
「僕は学問的業績に埋もれた医学者である事より、無名でも患者生命を大切にする医者である事を選ぶ」と言える彼の強い信念が多くの人に影響を与えることができたのだと思う。
その信念に影響された人の1人、佐知子の言った「自分が出来る時力を貸すのは誰でも出来る事で、自分が出来ない時にでも何とかしてさしあげるのがほんとうの尽力というものではございませんかしら」という言葉には、改めて気づかせてくれるものがありました。
医者は、癌患者に対して徹底的にその人が癌であることを隠します。
患者にショックを与えない為にそうするんだろうけど、私だったら知らせてくれた方が嬉しいのに。
死ぬことがわかってるならなおさら。
★★★★☆
