当たり前だろうか
「死が怖い」と思うのは。

私のふとした瞬間に脳裏に浮かぶのは、宇宙規模から見た自分の人生は両の手の平に収まる線路のようなもので、そのレールの上を我が物顔した私がトロッコに乗って運ばれている様子。

もちろんそのレールは死という終わりで途切れていて、先には何もない。

怖くないですか。
いつですか、私のトロッコが下落するのは
誰ですか、私のトロッコを操作しているのは

例えば。
すんごく幼いときから、時間に背中を押されてるってプレッシャーを感じてた。
それがすごく怖かった。
勝手に私を時間に乗せないでくれよと思ってた。

例えば。
道を歩いていて左右の足が交互に規則正しく前後してる様を凝視していると、まるで足が自分の意志とは関係なく動いてるような気になるんだよね。
勝手に私を運ばないでくれよと思ってた。

例えば。
生まれちゃったら、死ぬしかない。
なんで私は生まれちゃったのかな。
勝手に産まないでくれよ。

もっと言えば。
こんな無駄で面倒な事まで考えられる脳みそに進化させたのは一体誰なんだ?
猿のままでいさせてくれよ。

どこまでも自然由来だよ。
勝手に生まれて死ぬ理由と時期も選べないなんて、誰のなんのための人生なんだ。