皇大神宮別宮 月讀宮

(つきよみのみや)

 2018年 3月23日、伊勢神宮を訪問しました。皇大神宮はじめ、いくつかの摂社も回ってきました。

 

 ※伊勢には、月読尊を祀るお宮が2つあります。1つは、内宮の別宮=「月讀宮」。もう1つは、外宮の別宮=「月夜見宮」です。 文字は異なりますが、御祭神は同じ。ツキ(ク)ヨミノミコトです。今回は、前者を参拝します。

 

 

 

【表参道】

◆社頭

~小さくても総檜の伊勢鳥居です。ここから、聖なる森に入っていきます。人の気配がまったくなく、気分は最高です。

◇鎮座地:三重県伊勢市中村町742-1

◇最寄駅:近鉄「五十鈴川駅」~徒歩10分

◇御祭神:月読尊、月読尊荒御魂、伊弉諾尊、伊弉冉尊

◇御朱印・・・あり

 

 

◆玉砂利

~鳥居の先は、平坦な玉砂利の道が続きます。頬を撫でる風さえも清らかに感じます。

 

 

◆手水舎

~これぞ、伊勢!シンプルなヒノキの手水舎です。参拝前に心身を清めます。

 

 

◆水盤

~倭姫宮は天然石でしたが、こちらは加工された石を用いていました。龍や亀はいません。

 

 

◆祭器庫

~皇大神宮に準じた祭事が行なわれ、祈年、月次、神嘗、新嘗の諸祭には皇室からの幣帛(へいはく)があります。 *幣帛とは、お供えもののこと。

 

 

◆祓所 はらえど

~祓による浄化の効果を増大させるために、祭場とは別の場所に忌竹(いみたけ=清浄な竹)を立てた罪穢れのない清浄な空間です。ここで、神職が祈ったり、祓詞を奏したりします。

 

 

◆宿衛屋

~参拝時間内は、神職が常駐します。お札、お守りを授与します。御朱印もこちらです。

 

 

 

【拝殿】

◆高札

~参拝順路が記されています。

 

妻・イザナミに会うため、黄泉の国に行ったイザナギ。そこから逃げ帰った後、穢れを祓うため入り江で禊しました。左目を洗うと、アマテラス。右目を洗うとツクヨミが生まれました。

 

 

 

◆四社が並ぶ

~奥から、月讀荒御魂宮、月讀宮、伊佐奈岐宮、伊佐奈彌宮。四つの別宮が鎮座します。

『延喜式』には、月讀宮二座、伊佐奈岐宮二座、という書き方で記録されているそうです。

 

 

①月讀宮

御祭神:月讀尊

月の象徴として「夜の国」を統治するとされていますが、謎の多い神さまです。社殿は、こちらだけ他の三社より大きめに造られています。内削ぎの千木と、偶数=6本の鰹木です。

 

 

◆瑞垣

~造りは、倭姫宮に似ていますが、あちらのように「玉垣+瑞垣」でなく、瑞垣のみです。

 

 

②月讀荒御魂宮

御祭神:月讀宮荒御魂

~和魂(にぎたま)だけでなく、荒御魂も祀っています。

 

 

③伊佐奈岐宮
御祭神:伊弉諾尊

~鳥居は、もちろん笠木が五角形にカットされた「伊勢鳥居」です。

 

 

④伊佐奈彌宮

御祭神:伊弉冉尊

~鳥居と瑞垣御門を正面から。4社とも同一形式で造られています。

 

 

 

【裏参道】

◆社号標

~真新しく、真っ白な社号標が青空に映えていました。

~ここから、聖なる森へと入ってゆくのです。表参道は御幸道路に面していて、裏参道は国道23号線に面しています。

 

 

 

【境内末社】 

◆葭原神社 あしはら神社 

御祭神:佐佐津比古命(ささつひこのみこと)、宇加乃御玉御祖命(うかのみたまのみおやのみこと)、伊加利比賣命(いかりひめのみこと)。3柱とも田畑の守護神で五穀豊穣の神。

 

~裏参道の大鳥居をくぐって、すぐ右手、石段を数段上がったところに鎮座しています。伊勢鳥居、内削ぎの千木と4本の鰹木に板葺。小さくても神明造です。

 

~『延喜式神名帳』に記載されている式内社です。なので、本来なら摂社になるのですが、末社です。内宮末社16社のうち第3位に列せられています。 *賽銭箱はありませんでした。

 

 ※食物の神さまである、保食神(うけもちのかみ)を殺してしまったツクヨミ命。そのお宮に五穀豊穣の神さまを3柱も祀っているのは、なんとも皮肉なことです。

 

 

 

【御朱印】

~この墨書、思いっ気入り傾いてます^^;

 

 

 

【参拝ルート】 2018年 3月23日

START=伊勢パールピアホテル~徒歩~①『豊受大神宮』→バス→②『皇大神宮』~徒歩~③『猿田彦神社』~徒歩~④『上田神社』~徒歩~ ⑤『月讀宮』 ~徒歩~「五十鈴川駅」・駅前バス停→バス→「徴古館前バス停」~徒歩~⑥『倭姫宮』→バス→「宇治山田駅」→近鉄→「松阪駅」・駅前バス停→バス→「市民病院前バス停」~徒歩~⑦『本居宣長ノ宮』~徒歩~⑧『松阪神社』~徒歩~「市役所前バス停」→市営循環バス→「松阪駅」=GOAL

 

 

 

【ひとこと】

◆謎多き神

~保食神を殺した月読尊は、天照大御神から激しく批判されます。結果、天照大御神と月読尊の兄弟は、昼と夜に別れて住むことになりました。三貴子のひとりであるにもかかわらず、文献の記述はきわめて少ない月読尊。日本神話の中でも謎の多い神さまの一人です。

 

◆人々による信仰

~月読尊は名の通り月を読む。すなわち「暦」の神さまです。また、種まきや収穫の時期をはかるのに暦を用いることから、農業の神さまとして広く信仰されています。また、月が海の干満を司り、魚の産卵にも影響を与えることから、漁業の神さまとしても信仰されています。

 

◆太陽VS月

~月読尊が謎が多いこと。これは、《生命力に満ちた太陽VS闇を照らす月》という図式で考えたとき、神秘さにおいて月のほうが勝るわけです。つまり、神秘的なものの象徴としての神さま、とも考えられます。謎が多いのも頷けるのではないでしょうか。(了)