みなさんは、
化粧品と医薬部外品の違いってご存じですか
「薬用化粧品と医薬部外品の違いってなに?」
「薬用って書いてある方が
ふつうの化粧品よりもなんとなく効きそう!」
そんな風に思う方も
多いのではないでしょうか?
実は…
必ずしも医薬部外品の方が
効果的とは限らないんです
さらにいえば、
「医薬部外品だから
きっと効果がある!」
と思って使っているその化粧品も、
実はあなたが期待している効果がない、
という可能性も…
でも、大丈夫です
今回から数回に分けて、
薬用化粧品と医薬部外品の違いを含め、
化粧品と医薬部外品のそれぞれの定義や
成分表示ルールの違いなど
ご紹介していきたいと思います!
全部読み終わる頃には、
あなたも化粧品を見極める「目利き」に
一歩近づけること間違いなしです
そもそも医薬部外品って?
はじめに、
薬用化粧品と医薬部外品の違いからお話します
薬用化粧品とは、
「有効成分が配合されている」と
国が認めた特別な化粧品のことで
化粧品と医薬品の間にある
「医薬部外品」の一部として位置づけられています
医薬部外品とは、
有効成分も含むものの、
人体への効果がおだやかなものをいいます
薬用化粧品以外の「医薬部外品」としては、
・染毛剤
・腋臭防止剤(デオドラント製品)
・育毛剤
・除毛剤
などが含まれます。
薬用化粧品は
医薬部外品のひとつなのですね
医薬部外品の定義に含まれる
「効果がおだやかなもの」とは、
すなわち薬のように
ニキビなどの「病気を治すもの」ではなく、
ニキビを防ぐような、
あくまで「予防の目的」で使用されるものです
一方で、ふつうの化粧品とは
肌にはたらきかけるような
有効成分は含まないとされ、
肌や髪などのお手入れや保護を目的とするものです
化粧品と医薬部外品の大きな違いは、
「有効成分」を含むか含まないかというところのようですね
化粧品には有効成分は含まれないの?
そうしたら、
「化粧品に有効成分は含まれないの?」
と思われる方もいるかもしれませんが、
答えはNO!
厳密にいえば、
国が「有効成分」と認める成分の配合自体は
医薬部外品だけでなく、
ふつうの化粧品にも認められています
(化粧品に配合できない有効成分も一部あります)
例えば、様々な媒体でベスコス常連である
IPSAの医薬部外品「ザ・タイムR アクア」は、
有効成分として
グリチルリチン酸ジカリウムが配合されています
でもこの成分って、
ふつうの化粧品にも「グリチルリチン酸2K」の名前で
よく配合されている成分ですよね?
実際に、化粧品の成分データベースで検索すると、
7000件以上の配合化粧品がヒットします
(2024年7月現在)
すなわち、
医薬部外品だけが有効成分を含むわけではないのです
それでは、前にお話しした
医薬部外品と化粧品の違いとはなんでしょうか?
そのヒントは、販売するための手順にあります
医薬部外品を日本で売るためには、
有効成分が本当に効果があることを
国に届け出る必要があります
一方、化粧品を販売するためには、
商品の名称など一部の届け出は
自治体に対して必要ですが、
化粧品の成分については
国に届け出る必要がありません
すなわち、
化粧品と医薬部外品の違いとは
有効成分の肌への効果を
「国が認めたか」という部分にあります
化粧品と医薬部外品で
同じ濃度の有効成分が配合されていたとしても、
国が効果を認めている医薬部外品の方が、
肌への効果を幅広く伝えることができるのは
こういった理由があるからなのですね
医薬部外品よりも効果のある化粧品?
医薬部外品を販売するためには、
国に認めてもらう必要があるというお話をしました。
このとき、
国に認めてもらう必要があるのは、
有効成分の肌への有効性だけではありません
医薬部外品の販売を認めてもらうためには、
有効成分の肌への効果だけでなく、
人体への安全性も厳しく確認されています
医薬部外品の定義は、
「人体への効果がおだやかなもの」
そのため、有効成分の配合量について、
有効性の担保のための
「下限」だけでなく、
安全性の担保のための
「上限」も厳しく確認されています
一方、化粧品は各成分の配合量について、
どこかに届け出る必要などはなく、
安全性などは
メーカーの責任にゆだねられています
すなわち、
医薬部外品よりも
有効成分が高濃度の美容液も、
安全性さえ確認できていれば販売可能なわけです
他にも、
国が有効成分とは認めていないものの、
肌への有効性が確認できている成分も
世の中にはたくさんあります
(最近話題のアゼライン酸などもその一つです)
こういった成分を
有効量配合できるのは化粧品です
医薬部外品の方が
肌に効果的とは限らないのですね
化粧品の広告表現規制について
医薬部外品の制限は、
配合上限が厳しく管理されていること
では、化粧品の制限とはなんでしょうか?
それは、広告表現だと思います
この表現の制限によって、
私たち消費者の化粧品選びが
すごく難しいものになっていると
個人的に日々感じています
前述の通り、
医薬部外品の有効成分にあたる成分を、
化粧品ではより高濃度で配合することが可能です
(少なくとも、医薬部外品よりもハードルが低いです。)
でも、そのことによる効果を
化粧品ではほとんど言えません
例えば、
医薬部外品で
ビタミンC類を「有効成分」とすると、
いわゆる「美白効果」を認められることが多いのですが
化粧品でどんなにビタミンCを配合しても
美白効果は広告で記載できません
すなわち、
化粧品にどんなに有効成分を配合したとしても、
広告では「保湿」「なめらかに整う」など
ルール上ではありきたりなことしか言えないのです
極論をいってしまえば、
有効成分をきっちり配合している化粧品も、
ほんのちょっとだけしか入れていない化粧品も、
広告で言える内容は変わりません
効果で何も言えないなら、
事実で差をつけるしかないわけです
例えば、「◯%配合」
最近流行の化粧品は、
有効成分が高濃度配合されているものが多くなっています。
中には、
配合量が10%、20%以上など
競い合うように
配合量が多くなっている成分もあります
それには、こういった理由があったのですね
自分に合った化粧品を賢く探すために
確実に効果があって、
なおかつ安全性を国が確認している「医薬部外品」
有効成分が高濃度で配合されたり、
最新の成分が配合されている「化粧品」
どちらの方が肌にいい、
ということではありません
「今の自分には
どちらの方が合っていそうかな?」
という判断基準のひとつにしていただければ幸いです
また、化粧品にしろ、医薬部外品にしろ、
どうしても大事になるのが全成分の読み解き方
これだけで全てがわかるとは言いません。
でも、全成分の正しい見方がわかれば、
期待する効果を持つ化粧品を
選別する「目利き」ができるようになるはずです
次回から、
全成分の読み解き方をお伝えしてきます